レビュー:ジェントルマン・ジャック 時間の静寂

GENTLEMAN JACK(ジェントルマン・ジャック)を飲んだ。88点。
有名なテネシー・ウィスキーのジャック・ダニエルの別ヴァージョン。
ジャック・ダニエルとの違いは、チャコールメロイング(サトウカエデの炭で1滴ずつウィスキーをろ過する製法)を1回ではなく、2回すること。ジャック・ダニエルでは、ウィスキーを樽詰めする前に1度チャコールメローイングするが、ジェントルマン・ジャックでは、樽から出して瓶詰めする前にもう一度チャコールメローイングするそうだ。。

【評価】
グラスから立ち上るのは、フローラル、鉄、消毒液。
口に含めば・・・!一気にこの世界の時間との鎖を切られ、時間の静寂に放り込まれる。鉄粉を感じながら、元の時間に戻る。

【Kawasaki Point】
88point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:GENTLEMAN JACK(ジェントルマン・ジャック)
地域:American, アメリカン
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


ジェントルマンジャックは時間の静寂を感じるウィスキー

GG(グレート・ギャッツビー)を彷彿させる イニシャルGJ



ジェントルマン・ジャックを作っているジャック・ダニエル蒸留所はアメリカ、テネシーにある。

レビュー:ジャックダニエル 男を体現する味

Jack Daniel's(ジャックダニエル)を飲んだ。85点。
知名度は高いが、ウィスキーのレビューをしているブログなどでは意外と見かけない。
地域でウィスキーを分類すると、ジャックダニエルはアメリカン・ウィスキー。
アメリカン・ウィスキーの中でも、バーボンではなく、テネシー・ウィスキーだ。
ケンタッキー州のウィスキーがバーボンで、テネシー州のウィスキーがテネシー・ウィスキー。

コストパフォーマンスに優れており、筆者もお金のない大学生時代に「ジャックダニエルをロックで」というのがなんだかかっこよく、味も分からずよく頼んでいた。初めて飲んだウィスキーだ。
(ちなみに、アメリカのウィスキーはWHISKEYと表記する。イギリスのはWHISKY。Eのあるなし)

【評価】
香りをかげば、鉄と馬、レール。トウモロコシの葉。火薬。炭。シップ。
口に含むと、穏やかな消毒液。花々。革。
男を体現するウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Jack Daniel's(ジャックダニエル、ジャックダニエルズとも表記)
地域:American, アメリカン
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


口に含むと、穏やかな消毒液。

花々であり革である

ジャックダニエルはやはり名前がイカしてる


アメリカはテネシー州、ジャックダニエル蒸留所の場所を地図で確認してみて。

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ウィスキーで虫歯になるか?

素朴な疑問がこころに引っかかったままだと、健康に良くないらしい。

ウィスキーで虫歯になるか?

この質問は、長生きのために重要だ。健康のため、おいしい飲食のためにも、歯は大切。
ウィスキーで虫歯になるか、つまり、
「歯磨きをした状態で、ウィスキーを飲んだあと、もう一度歯磨きせずに寝てもOKか」だ。
結論から言うと、OKだ。

楽しいウィスキーのために、健康は重要なテーマだ


ウィスキーでは虫歯にならない


ウィスキーで虫歯にはならない。
(歯磨きした状態で、ウィスキーを飲んでも、また歯磨きする必要はないのだ)
なぜなら、ウィスキーに含まれる糖分はほぼ0(ゼロ)だからだ。
いやいや何言ってるんだ、ウィスキーだって甘いのがあるじゃないか、と思われるかもしれない。
たしかにウィスキーには甘みを感じる。だがそれは糖分の甘みではないらしい。


蒸留酒だから虫歯にならない


対して、ビールやワインには糖分がかなり含まれていて、虫歯の危険性がある。
詳しくは「醸造酒と蒸留酒の違い」という話になる。簡単に言うと、ビール(醸造酒)を煮詰めて、蒸発した成分を凝縮すればウィスキー(蒸留酒)になる。ビールに含まれている糖分は蒸発せずそのまま捨てられる。この過程を蒸留という。ちなみに、ワインを煮詰めればブランデーを取り出せる。
(だいたい同じような過程で作られる、焼酎、ラム、ウォッカなどの蒸留酒も糖分がほぼない)
だからビールやワインと違ってウィスキーには糖分がほぼなく、虫歯の原因にはならない。


おつまみ食べたらもちろん虫歯の原因になる


もちろん、おつまみを食べたりすると、歯磨きが必要だ。特にウィスキーに合うおつまみはチョコレートやナッツなど、充分虫歯の原因となりやすいものが多いから注意が必要だ。


寝る前のアルコールは睡眠を浅くし、虫歯ができやすくなる


だからと言って、寝る直前に飲む「寝酒」は睡眠を浅くしてしまうのでオススメしない。
またアルコールだけを飲むと脱水症状を起こすので、チェイサー(水)と一緒に飲むことをオススメする。脱水症状が起こるとそれ自体良くないし、唾液も作りにくくなるので、虫歯になる可能性が高くなるのだ。それを防ぐためにもチェイサー(水)は重要だ。


ウィスキーと虫歯のまとめ


ウィスキーでは虫歯にならない。(当然ながら歯を磨いていることが前提)
おつまみ食べたら歯磨きを。
寝る前のアルコールは睡眠を浅くする。
飲む際にはチェイサー(水)は必須だ。




以上を胸に、よいウィスキーライフを。


レビュー:ラフロイグ・クォーターカスク (優しいのに、激しい)

LAPHROAIG QUARTER CASK(ラフロイグ クォーターカスク)を飲んだ。85点。
クォーターカスクとは、1/4の樽で熟成させた、ということ。(クォーター=1/4、カスク=樽)
通常より容量が少ない分、中身のウィスキーは樽の影響を大きく受けるのだ。
乱暴に言えば、熟成とはウィスキーの原液が樽の影響を受けることだ。
このラフロイグ・クォーターカスクは、10年より年数は低いはずだが、なかなかの熟成具合。

【評価】
鼻から感じる、強めの樽の木の香り。古い木の家。広葉樹林。煙とアルミホイル。
舌で、木の樹液が染み渡るのを感じる。くすぶった香り。滑らかだが、優しく、しかしピートを確かに主張する。
優しいのに激しさのあるウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:LAPHROAIG QUARTER CASK(ラフロイグ クォーターカスク)
地域:Islay, アイラ
樽:Bourbon, バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

優しいのに激しさのあるラフロイグ・クォーターカスク

ラフロイグ・クォーターカスクは、コストパフォーマンスの高い酒。
だからショットグラスでわいわい飲むのもまた良し


ラフロイグ蒸留所は、イギリスはアイラ島の南に位置している。
マップを拡大して確かめてみて。

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レビュー:響21年 -生真面目な、日本人-

響21年を飲んだ。85点。
響(ひびき)は日本の代表的なブレンデッド・モルトだ。
サントリーによれば、21年は“ウィスキーを知り尽くしたあなたに”だそうだ。

その味の響きには欠点が見当たらないが、虜にするような魅力もない。
「これだけの実力がありながらなぜもっと主張しない?」と問いかければ、
「いえいえこれが和の心です」と答える、いかにも生真面目な日本人のイメージと重なる。
もっとクリアーな主張をすればいいのに・・・と思う。
ただ、確かに美味い。国産ウィスキーということで、私はつい求めすぎているのだろうか?


【評価】
グラスを鼻に近づけると、ナスとトウモロコシ。有機溶剤。雨をはじいたオーク材。
群生した夏草に感じる香りの奥行きと清涼感。土。
口に含めば、一瞬で溶ける飴。渋みを感じさせず、しかしバランスの取れた重量感。余韻は長く続く。
柔らかいアプローチの中にすべてを徐々に明かしていく。
前へ前へとグイグイとこないが、静かに「いつでもここにおいで。待っているよ」という貫禄。
鉄、赤土、水、草。
日本的な静かな主張とバランスの中に、フローラルを感じるウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:響 21年(HIBIKI 21yo)
地域:Japan, 日本
樽: Sherry, Bourbon, White Oak, Mizunara シェリー、バーボン、ホワイトオーク、ミズナラ
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


「いつでもここにおいで。待っているよ」という貫禄

バランスの取れた重量感

いちいちこういう説明をしてしまうのが生真面目すぎるところ。
24面とか和紙とかボトルに書くからかっこ悪い。
「悪い人じゃないんだけど・・」って感じ。

和紙感

レビュー:ボウモア1973 25年 キングスバリー

Bowmore 1973 25yo KINGSBURY'S (ボウモア1973 25年熟成 キングスバリー社)を飲んだ。85点。
70年代ボウモアは希少。
(ときどき考えるが、東京では一杯いくらするのだろうか・・・誰か教えて)


【評価】
グラスから立ち上るのは、ぶどうと塩気。しょう油。古めかしい西洋の鎧。華やかさとセピア色の思い出。
口に含めば、芳醇さ。すっと入ってくるのに驚くほど深い味わい。香水のようなハーモニーはすぐ消えるが、塩と煙の余韻を残す。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:BOWMORE 25yo(ボウモア 25年)
地域:Islay, アイラ
樽: Sherry, Bourbon シェリー、バーボン
ボトル:KINGSBURY'S


グラスから立ち上るのは、ぶどうと塩気。

キングスバリー社のこのボトルはもうほとんどないだろう。

香水のようなハーモニーはすぐ消え、塩と煙の余韻。

少し引きの画で。+ボタンを押して、ボウモア蒸留所の位置を確かめてみて。

レビュー:グレンファークラス21年 -寒い日に温まる-

Glenfarclas 21yo(グレンファークラス21年)を飲んだ。85点。

【評価】
香りは、透き通るような花の蜜。灰。練り飴。再生紙。花瓶にいけた花。
唇につけたグラスをそっと傾ければ、ザ・シェリー樽。
軽さと重さが入り混じり、ふわっと焦げた樽の香りだけ残していく。
寒い雪の日に、温まるために飲みたいウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:Glenfarclas 21yo(グレンファークラス21年)
地域:Highland, ハイランド
樽: Sherry, シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


グレンファークラス21年は、「ザ・シェリー樽」だ。

1836年から家族経営のグレンファークラス蒸留所。もちろん、こだわり派。



グレンファークラス蒸留所は「緑の草の生い茂る谷間」という意味。
イギリス北部ハイランドに位置する。地図を拡大すればくねくね曲がったスペイ川が見れるよ。

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レビュー:スキャパ16年

SCAPA 16yo(スキャパ16年)を飲んだ。88点。
有名なブレンデッド・ウィスキーのバランタインの「魔法の7柱」の内のひとつ。(※バランタイン17年を構成する主要なシングル・モルトは7つあるとされ、今回紹介しているスキャパはそのひとつ)


【評価】
グラスから立ち上る香りは、透き通った潮風。正午が近い午前。ハチミツ漬けのオレンジの皮。ビーチにできた蜃気楼。
口に含めば、飛沫が舞う。穏やかだが、一幅の絵画を見せられたかのような主張を感じる。甘くゆったりとした時間。時間をかけてピートが分解する。
晴れた日の穏やかな波を漂うウィスキー。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄:SCAPA 16yo(スキャパ16年)
地域:Islands, アイランズ
樽: Bourbon, バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


スキャパには、一幅の絵画を見せられたかのような主張を感じる

ボトルに浮かぶヨット


スコットランドの最北のスキャパ蒸留所。地図を拡大してスキャパ湾を確認して。

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レビュー:オールドプルトニー12年

OLD PULTENEY 12yo(オールドプルトニー12年)を飲んだ。85点。
有名なブレンデッド・ウィスキーのバランタインの「魔法の7柱」の内のひとつ。(※バランタイン17年を構成する主要なシングル・モルトは7つあるとされ、今回紹介しているオールドプルトニーはそのひとつ)


【評価】
香りをかげば、甘くて、高貴。白ワインのような。鼻の血管が甘い香りを吸って、脳は大きな花を想起する。決してシンプルすぎないが、これ以上の複雑さも求めないまとまった感じ。
口に含めば、滑らか、舌の上でバターがとろけるかのよう。美しく完成されていて、距離が近づきもしないが、離れもしない。
不思議な味わい。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:OLD PULTENEY 12yo(オールドプルトニー12年)
地域:Highland ハイランド
樽: Bourbon, Sherry バーボン、シェリー 
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


オールドプルトニーは不思議な味わいのウィスキー

オールドプルトニーはニシン漁が盛んな地で生まれたウィスキー
ニシン漁で必要な樽作りの技術が活かされたという

ボトルも凝っている。描かれた波。
ボトルのネックはポットスチル(蒸留器)をイメージしている



オールドプルトニー蒸留所はスコットランドの最北に位置し、ウィックという港町にある。

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レビュー:グレンフィディック12年

Glenfiddich 12yo(グレンフィディック12年)を飲んだ。87点。
世界で一番売れているシングルモルト・ウィスキーと言われ、KING OF MALTの呼び名も。
ちなみに「世界で一番売れている“シングルモルト”」であって、
「世界で一番売れている“ウィスキー”」ではない。
(その違いは? 参考:ウィスキーのシングル・モルトとは何か?


【評価】
シェリーの甘みがフローラルさと混じって爽やか。かつクリーミーで、クリーミーさの奥に煙。
口に含めば、穏やかに語りかけてくる。クリームチーズのパスタ。旅人が語る夜の窓辺。窓の向こうに波音。
無骨とエレガンスのバランスの良いウィスキー。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:Glenfiddich 12yo(グレンフィディック12年)
地域:Highland ハイランド
樽: Bourbon, Sherry バーボン、シェリー 
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

無骨とエレガンスのバランスの良いグレンフィディック12年


Glenは谷、fiddichは鹿。Glenfiddich(グレンフィディック)蒸留所の場所を地図で確認してみて。

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レビュー:オクトモア5 (丸くなるな!と諭すウィスキー)

Octomore 5(オクトモア 5年)を飲んだ。85点。
いわずと知れた世界一のフェノール値、つまり最高にピートを焚いている。ピートとかフェノール値について簡単に解説しておく。例えば、アードベッグというウィスキーはとても煙臭いことで有名だが、その煙臭さ、煙たさは「ピート」を焚いているからだ。この「ピート」の値がフェノール値だ。高ければ高いほど、煙たい香りがするはずだ。このアードベックの3倍以上のフェノール値を記録し、現在は世界一煙たいウィスキーがこのオクトモア5だ。
尚、このオクトモア5年には別名が付いていて、「ベルベット手袋の中の鉄拳」という。何とも詩的だ。


【評価】
鼻を近づければ、甘いあんずの香り(予想していた煙たさは前面に出てこない!)。少し離れた位置でのくすぶった焚き火。ボディの豊かさ。オイリー、油絵のニュアンス。砂糖まじりの砂。
口に含むと、意外にも滑らかに入ってくる(これが“ベルベット手袋”だろう)が、その後、火をつける。豊かな香り複数種と、香ばしさのハーモニー。身体の中から、時間差で上がってくるピート(これが“鉄拳”なのだろう)。血液の中で踊るピート。
信じられないほど高いフェノール値でありながら、バランスを取って味あわせるのは素晴らしい。
5年熟成とは思えないほど。
「丸くなるな!ただし、バランスを取ることでその尖りは個性となる」
と言われているかのような、人生を味わうウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:OCTOMORE 5  5yo (オクトモア5 5年熟成)
地域:ISLAY アイラ
樽: Bourbon, バーボン 
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル



オクトモアは「丸くなるな!」と諭すウィスキーだ。


話題の新ボトルを続々リリースしている復活系蒸留所、ブルイックラディを地図で確かめてみて。

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レビュー:ポートエレン1978 23年

DOUGLAS LAING, PROVENANCE Series PORT ELLEN 1978 23yo (ポートエレン1978 23年熟成、ダグラスレイン社のプロヴナンスシリーズ)を飲んだ。カスクストレングス(樽出し)。なんと97点。

【評価】
ぶどうと木の樽、美しい浜辺。空は青く、カモメが舞っている。柔らかさに包まれたビター、焦がし感が、バランスを崩さずに鼻腔の奥深くまで届く。
口に含めば、舌の上で焦がしたチョコが踊る。甘くとろけるような香りが焦がしながら消えていく。まるでコニャック感。後から上がってくるピート感。
味も香りも刻々と変化するが最後まで決して崩れない。一貫した主張がある。華やかだがクドくなく、潔い。
出会ったなら、飲まなければならないウィスキー。

【Kawasaki Point】
97point

【基本データ】
銘柄:PORT ELLEN 1978  23yo (ポートエレン1978 23年熟成)
地域:ISLAY アイラ
樽: Bourbon, バーボン ※詳細不明
ボトル:DOUGLAS LAING ダグラスレイン社


ポートエレン出会ったなら、飲まなければならないウィスキー。

一貫した主張がある。華やかだがクドくなく、潔い


今はもうすでに閉鎖されたポートエレン蒸留所の位置を地図で確かめてみて。

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レビュー:ラフロイグ14年 サマローリ

SAMAROLIのLAPHROAIG 14yo (サマローリのラフロイグ14年)を飲んだ。87点。


【評価】
グラスを近づけ、鼻からアロマを吸い込めば、スパイシー、煙、土のついた根野菜。むせることのない、香り。奥行きがあるのに若い。優しさ、澄んでいる。バーカウンターで隣り合った人の頼んだフルーツの盛り合わせ。
口に含めば、刺激、辛み、甘みをゆったりと与える。
ラフロイグの個性をオシャレにまとめた、飽きのこない満足を与える一杯。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:LAPHROAIG 14yo (ラフロイグ14年)
地域:Islay (アイラ)
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:SAMAROLI, サマローリ


まるでワインのボトルのようなサマローリのラフロイグ14年



チャールズ皇太子ご用達のウィスキーであるラフロイグ。
地名の意味は「広い湾のそばの美しい窪地」らしい。グーグルマップで確かめて。

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レビュー:ボウモア1987 23年(ベリーブロス)

BERRY BROs & RUDD の BOWMORE 1987 23yo(ベリーブラザーズ&ラッドのボウモア23年)を飲んだ。1980年代の貴重なボウモア。98点。


【評価】
目の覚めるような香り。アルコールの香水。嫌味のない燻製の香りが奥に漂う。甘いラベンダー。首筋に垂らしたくなる。
口に含むと、香水が香水のまま、やや膨張しながら分解していく。残るものは、香水を感じた口腔のしびれ。細胞が光を放ち、背筋を伸ばしたくなる。ヘビーな香りを奥に隠している。
闇の中を差す光の筋を思わせるウィスキー。これはもうほぼ、文学だ。

【Kawasaki Point】
98point

【基本データ】
銘柄:BOWMORE 23yo (ボウモア23年)
地域:Islay (アイラ)
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:BERRY BROs & RUDD, ベリーブラザーズ&ラッド


香水のような80年代ボウモア。これはもはや文学だ。


アイラ島の有名蒸留所ボウモアの位置を地図で確かめてほしい。Bowmoreは大きな岩礁という意味。

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レビュー:マッカラン12年

MACALLAN 12年(マッカラン)を飲んだ。87点。


【評価】
香りをかげば、甘くて渋い木の香り。うっとりするチョコレート。ビスケットの麦。木の板の塀の隙間から覗く花畑。古い本のページをめくる。
口に含めば、甘くて濃厚、多重的。ほんの少し、たらの芽のような苦味が隠れている。アルコールが誘う古い記憶。木の本棚。
時間の価値を思い出させてくれる名ウィスキー。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:MACALLAN 12yo (マッカラン12年)
地域:Highland (ハイランド)
樽: Sherry, Oak  シェリー、オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


時間の価値を思い出させてくれるマッカラン12年


ウィスキーのロールスロイスと呼ばれるマッカランのこだわりの蒸留所の位置をマップで確かめてほしい。

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ウィスキー初心者が初めてバーで注文するとき、知っておきたいこと(後編)

ウィスキー初心者が初めてバーで注文するとき、知っておきたいこと(前編)に続き、後編をお届けする。この記事は関心が高いみたいで、前編はすごいアクセス数だ。


Q. 飲みたいウィスキーの銘柄が決まりました。飲み方はどうしましょ?

飲み方はもちろん「ニート」にしてほしい。
ニート、というのがあまりに通っぽくてヤだなと思われる方は「ストレートで」とお願いしてみよう。きっと「度数が強いですが大丈夫ですか?」と聞いてくれるはずだ。あなたは、「少しずつ飲むので大丈夫」と答えてみよう。
尚、「チェイサーはいかがなさいますか」と尋ねられる場合がある。これは、「チェイサーは必要ですか?」という意味と、「チェイサーはお水ですか、ソーダですか」という意味が考えられる。チェイサーは水でもソーダでもいいが必ずもらおう。聞かれない場合は、後から勝手に出てくる。出てこなければ「チェイサーをください」と頼もう。

ただ、最初なので、もしどうしてもストレート(ニート)がキツくてだめそうな場合、ぎりぎりオン・ザ・ロックまでは認めよう。ウィスキーが徐々に薄まるので、段階的に香りを楽しめるだろう。(参考:ウィスキーの飲み方 オン・ザ・ロックは氷次第)ただし、あんまり氷をくるくると回し過ぎないように。急激に薄まってしまうのはNG.

ウィスキーを飲む際のチェイサーとは何か

チェイサーは、「追っかけ水」とか言われたりする。ウィスキーを飲んで、ときどきこのチェイサーの水かソーダを飲むと良い。ウィスキーのような度数の高い酒をストレートでガンガン飲むと、血中アルコール濃度が急上昇することもある。ちょくちょく水をはさみながら飲むと、身体に優しいのだ。二日酔いになりにくい。また、香りも都度リセットすることができ、一杯のウィスキーをなんども愉しめる。
※ときどきチェイサーにビールを指定する豪傑がいるが、酔いたいだけなのだろう。
※ロックや水割りのときにこのチェイサーを頼んでも何らかまわない。



Q. ウィスキーは何分ぐらいかけて飲めばいいですか?

初心者が犯しがちな間違いに、ウィスキーをぐびぐび飲んでしまうということがある。ペースは大切だ。一杯のウィスキーは通常20~30分かけて飲んでほしい。最初であればなおさらだ。あなたがもし普段から度数の強い酒をガンガンいくタイプならあまり心配はないが、普段はビールなど、アルコール度数が6~8%程度の酒をごくごく飲んでいる人なら、ウィスキーのような40~60%のアルコールの酒をつい同じ感覚で飲んでしまう心配がある。ウィスキーはちびちびやってほしい。特に最初はまず、香りを愉しむこと。でも、吸い込みすぎてはいけない。これもむせてしまうので、そっと鼻から香りを吸い込んでほしい。最初の一口は、舌でなめる程度で良い。つぎに、ほんの少量ふくむ。少量であればあるほどよい。何事も、徐々に増やしていくことが肝心だ。ときどきチェイサー(水)を飲んで、血中のアルコールを急激に増やすことを防止しよう。チェイサーはなくなれば注いでくれるので、一杯のウィスキーに一杯のチェイサーだなどと律儀に考えなくても良い。チェイサーはぐびぐび飲んでよい。


Q. ウィスキーを飲んでいる間、どうすればよいですか?

基本は黙って飲んでいれば良い。あなたがバーで黙ってウィスキーを愉しんでいれば、それは傍から見て「絵になっている」はず。手持ちぶさたに感じるかもしれないが、何もない一見無駄な時間を愉しむという感覚で良い。もし一杯のウィスキーに向き合えば、あなた自身は愉しむことで結構忙しいかもしれない。
もちろん、最初だということをバーテンダーに告げていれば「いかがですか」と感想を聞いてくれるだろう。これには正直に答えてよい。バーテンダーが次からあなたにウィスキーを薦める際、何を薦めるかの道しるべとなるからだ。バーテンダーはあなたの感想を必要としているし、そこからあなたが知りたいウィスキーのさまざまな情報を提供してくれるだろう。「このウィスキーはこんな香りがしませんか?」などと。あなたは、どれどれ、とまたもう一口飲んでみるだろう。「あ、確かに」と思いながら、あなたの香り体験は豊かになっていくに違いない。
ウィスキーは黙って飲んでもよし、誰かと語ってもよしなのだ。

タバコは吸ってよいですか?

構わない。バーで禁煙のところはほとんどないが、お店に確認すればOK。あなたがさりげなくタバコをカウンターに置いておけば、灰皿を出してくれるだろう。当然、まわりにやや配慮しながら。
ところでバーには、タバコどころか、葉巻を置いているところもある。それは凄く深い香りの世界だが、また別の機会に。


Q. ウィスキーを堪能しました。さて、どうやって帰ればよいですか?

ウィスキーを1~2杯堪能したところで、あなたが帰りたくなったとする。あとはお金を払って帰るだけだ。(もっと堪能しても良いけれど、酒の基本は“決して乱れず”だ。最初はスマートに帰るのがオススメ)
カウンターに座ったままで、バーテンダーの人に、帰る旨を告げよう。「美味しかったです、お会計おねがいします」でも良いし、「すみません、チェックお願いします」でも良いし、単に「ごちそうさまです」でも良いだろう。バーテンダーの人もあなたが初めての人なら明確に「お会計」「チェック」という言葉が合れば分かりやすい。
もしあなたがそのバーを気に入れば、お金を渡したときや、おつりをもらったときに、「またきます」と告げても良いだろう。

バーの会計「チャージ料」とは?

もし明細を渡してくれるバーなら、明細を見ると、「チャージ料」という項目で500~1500円ぐらいかかっているだろう(チャージが1500円もかかるところは高級ホテルとか、そんなイメージ。大体数百円なのでご安心を)。これは席料と考えよう。またバーでは頼まなくても、黙っておしぼりや、おつまみ(ナッツやピスタチオ、チョコレートなど)が出てくる。これらもチャージ料の中に含まれている。



Q. 帰る前にしておくことはありますか?

存分に愉しんでほしい。ただ、気に入ったウィスキーがあれば、なにかにメモすることをオススメする。ウィスキーの名前はだいたい地名で、覚えにくいカタカナが多い。せっかく気に入ったものがあるのであれば、次に飲むときの最初の一杯をそれにしてもいい。だから、覚えておけるようメモするのも手だ。


Q. 帰ったあとは?

楽しい酒を飲んだ、と記憶してほしい。もし楽しい酒を飲めたなら、このブログの記事を最低5人に熱烈に薦めてほしい。最後のは冗談だけど、きっとあなたは良いウィスキーデビューができるはずだ。
また、あなたがベテランなら、これらの記事をあなたが最初にバーでウィスキーを飲んだときのことを思い出して懐かしく思ってくれたに違いない。





ウィスキー初心者が初めてバーで注文するとき、知っておきたいこと(前編)

あのドキドキをもう一度

もし、あなたがこれまでバーでウィスキーを頼んだことがなければ、下記の記事が参考になる。もし、あなたが経験豊富な人なら、下記の記事は、はじめてのドキドキ感を思い出させてくれるだろう。

この記事は長めなので前後編に分かれている。この記事は前編。


Q. どのバーに行ったらいいですか?

一番最初に悩むのは、やはり店だろう。バー選びでは2つの方法がある。

バー選びその1: 信頼できる人に連れて行ってもらう

やはり先達というのはありがたいもので、初めての店に入るときに、誰かに連れて行ってもらうのが一番安心できる。もちろんゲストとして扱ってもらえるし、頼み方から、価格まで、分かった人が隣に居るのはその人の見よう見まねができ、大変に心強いものだ。

バー選びその2: インターネットで検索しておく

バーの重たい扉を開けなくとも、検索すればいい。おすすめの検索方法は、「ウィスキー バー ○○(地名)」での検索だ。お店のHPから、誰かのレビューまでさまざま引っかかる。そのバーの大体の価格帯、営業時間や、定休日などの情報は必須だ。また、気に入ればリピーターになるかもしれないので、できるかぎりウィスキーに力を入れていそうなバーを探り当てよう。
ちなみに「ここで異性を口説いてください」という感じのムーディーな色付き照明の空間のところは、たいていがお酒よりもおしゃべりのための場だ。もし自分ひとりで行っても、静かに座って飲む姿が想像できるインテリアのバーを選ぶと良い。
尚、バーは予約してもしなくても良いが、ほとんどその必要はない。バーに行列はできない。入れなければ、また今度。無駄足を避けるために、行く直前に席が空いているかどうか確認の電話をするといい。


Q. お店に着きました。どのウィスキーを選んだらいいですか?

ご注文は?と言われたとき、なんと言えばよいのだろう。ウィスキーを飲みたいのは確かなのだけど・・。
また、お店によってメニューがあったり、なかったり。どうすればよいだろうか。

注文するウィスキーの銘柄選びその1: 決まった銘柄を注文する

すでに決めている銘柄があるなら、「○○はありますか」と頼んでみよう。
できれば年数も告げよう。「○○の○年をください」と。もしかしたらそのバーにはその銘柄は置いていないかもしれない。銘柄はあっても、思う年数のものはないかもしれない。おそらくバーテンダーの方は「こういうものならあります」と代替案を提示してくれるはずだ。嫌いな銘柄でない限り、従ってみよう。


注文するウィスキーの銘柄選びその2: バーテンダーさんに相談する

もし銘柄が分からなくても、あせる事はない。およそ地球上のほとんどの人間は、ウィスキーの銘柄なんて知らない。ウィスキーの銘柄なんて、知っているほうが圧倒的に少数派だ。知らなくて当然の顔をしていればいいのだ。
「なにかウィスキーを飲みたいんですが、よく知らないんです。なにがオススメでしょうか?」のひと言で充分だ。もしこのひと言で、困った顔をするようなバーテンダーなら、その場で帰っても良い。まぁ席に座った以上、一杯だけ付き合ってあげるのも良し。ただ、ほとんどのバーテンダーは「わかりました。こういうのはいかがですか?」とか「最初でしたらこういったものは?」などと聞いてくれるだろう。デキるバーテンダーなら、他のお酒や料理などを引き合いに出してあなたの好みを探ろうとするだろう。心からウィスキーが好きなバーテンダーなら「ウィスキーファンをひとり増やせるかもしれない!」と目の奥が輝いているはずだ。
いずれにせよ、「私は初心者です」と腹を割り、バーテンダーさんとコミュニケーションをとることが肝要だ。もちろん、その際に、あなたの好みに関するできる限りの情報を提供しよう。

一杯いくら?

最初に「初心者です」と腹を割れば、高いものを薦められることはない。ただ、気をつけておかないと、候補の中から、自分で高いものを選んでしまう場合がある。目安となるのは年数だ。一般的に長熟のウィスキーは価格が高い。12年までのものにしよう。幅があるので何ともいえないが、1杯あたり800~2000円だろう。値段を聞くのは野暮じゃない。堂々と「これだと1杯いくらですか?」と聞けばよい。返ってきた答えがもし予算内なら「ではそれをください」と頼もう。


前編はここまで。気になる飲み方や、飲んでいる最中、立ち去り方など、後編は後日UPする。

ウィスキー初心者が初めてバーで注文するとき、知っておきたいこと(後編)



ウィスキーはカロリーを気にして飲むべきか?

美味しいお酒を愉しむとき、無視できないのが、そのカロリーだ。
気になるウィスキーのカロリーはいかほどであろうか?

ウィスキーのカロリーは、一杯(30ml)でおよそ70~100kcalだ。
実はウィスキーのカロリーは、含まれるアルコールのカロリーとイコールなのだ。


これは多いのか、少ないのか。
成人の一日の摂取カロリーはおおよそ1800~2200kcalだから、その3~6%程度である。
1日あたり1~2杯のウィスキーを飲んでも、大したことないが、5~6杯となると、1日のカロリー量に充分な影響を与えてしまう。ただこうなると、ウィスキーの場合、カロリーよりもアルコールに気をつけなければならない。アルコールの話はまた、別の機会に。

タイトルの「ウィスキーはカロリーを気にして飲むべきか?」に答えよう。
NO. ウィスキーは特段カロリーを気にしなくていい。
むしろ健康への影響度で言えば、アルコール量に気をつけましょう。


尚、「ウィスキーのカロリーはアルコール由来のエンプティカロリーだから太らない」というのは俗説で、人類の儚い願い。たくさんとれば太るのがカロリーだ。


【ご参考まで】
以下、ウィスキーのカロリー算出の計算式。
アルコール1gのカロリーは7kcal
アルコールの比重はおよそ0.8
アルコール度数が40%のウィスキーであれば、下記の計算式。
30ml × 40% × 0.8(比重) × 7kcal = 67kcal
もし、かなり度数高めのウィスキーでアルコール度数が60%であれば、100kcalの計算だ。





レビュー:余市20年

余市20年を飲んだ。97点。

【評価】
グラスから立ち上る香りは、きわめてフローラル。
フローラルの甘さの中に、自然な重みと塩っぽさを感じる。いつまでも嗅いでいたい樽香。
口に含めば、一瞬で蒸発する甘さと、焦がしたチョコレートのニュアンス。まるで樽の中に深く沈み込むかのよう。ボディが利いており、その多重的な味が、バッハのG線上のアリアを思わせる。
香りの中に引き込まれる。味わうためのウィスキー。

【Kawasaki Point】
97point

【基本データ】
銘柄:余市20年
地域:余市(北海道)
樽: Sherry, シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


余市20年。香りと味はG線上のアリアを彷彿させる。



北海道は余市蒸留所の場所を確かめてほしい。
ジャパニーズウィスキーの父、竹鶴政孝が追い求めた、理想の地だ。

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レビュー:カリラ DE モスカテル・カスク

Distillers EditionのCAOL ILA (カリラ) 12年、モスカテル・カスクを飲んだ。88点。


【評価】
しとやかな甘みが、まろやかなピーティーさと混じり、山荘の香り。
口に含むと、舌全体を円やかに包み込む。麦の香ばしいコクで、魔法の絨毯に乗っているかのようなふわふわした感覚を与え、最後にピリピリとした刺激を与えながら、古い本のような香りを残す。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄:CAOL ILA Distillers Edition (カリラ ディスティラーズ エディション 12年)
地域:Islay アイラ
樽: Moscatel Sherry, モスカテル シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル



カリラ ディスティラーズ エディションは、モスカテル・カスクによる二段熟成。
とてもカリラらしい、カリラ。ファンタジックで洗練されている。


カリラ(CAOL ILA)はゲール語で、アイラ海峡。地図で確認してみて。

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ウィスキーのシングル・モルトとは何か?

シングル・モルトとは何か?
ウィスキーを飲み始めると、まずぶつかるギモンだ。

科学的にいうと、、、
それは、ある蒸留所で大麦麦芽100%でつくられたウィスキーをボトリングしたものだ。
そのボトルの中には、他の蒸留所のウィスキーは混ざってないし、大麦以外の穀物も使っていない。
ついでに、いわゆるスコッチ・ウィスキーの蒸留所は100を超えると言われている。
(参考:wikipedia スコッチ・ウイスキーの蒸留所一覧


こういう説明は「なるほどそうか」と分かりやすいけれど、なんだか味気ない。
でもウィスキーはここに“人間”が混じってくるからおもしろい。どの蒸留所にも、“個性”があるのだ。

ただ、ウィスキーのつくり方は世界共通だ。
大麦をあれこれして、糖分を取り出して、2、3回蒸留して、樽につめて、寝かせて・・・というプロセスだ。
けれども、どの蒸留所でも、やり方や器具が微妙に違っていて、それが味に影響を与えるとされている。

また、樽で寝かせている、まさにその場所も、味に大きく影響する。
簡単に言えば、海沿いの蒸留所で寝かされたウィスキーは、潮っぽい香りがつく。
数年、数十年という時を経て不思議とそうなる。

だから、やり方や環境はとても大切だ。
長い年月を経て、ウィスキーはその蒸留所が考える味や香りが体現される。

こう考えると、ウィスキーはまるで人間みたいではないか。


では、最初のギモンに戻ろう。
シングル・モルトとはなにか?


それは結局、その蒸留所の個性なのだ。
数十年後を夢見ながら、これが美味いウィスキーをつくるやり方だと信じてやりきった人たちの結果である。だからシングル・モルトとは、そういった人々の願いが個性となり、それを瓶詰めして、目の前に届けられた、ひとつの“物語”のようなものだ。

どうかあなたがシングル・モルトを頼むときには、それが個性であり、物語であると知っていてほしい。

シングルモルトとは、個性であり、物語だ。



レビュー: ブナハーブン 32年 ベリーブラザース&ラッド

BERRY BROs. & RUDD の BUNNAHABHAIN(ブナハーブン) 32年を飲んだ。79点。

【評価】
脳髄をとろけさせる香り。春の花畑。有機溶剤。
口に含むとインパクトがあり、一瞬で展開する。あとから香る木の香りや、ココア。香りのボディーブローを残していく。

【Kawasaki Point】
79point

【基本データ】
銘柄:BUNNAHABHAIN 32 years old (ブナハーブン32年)
地域:Islay アイラ
樽: Sherry, シェリー
ボトル:BERRY BROs. & RUDD,  ベリーブラザース&ラッド





ブナハーブンはどこにあるか?Google Mapで確認

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ウィスキーの飲み方 オン・ザ・ロックは氷次第

ウィスキーの飲み方はニート(ストレート)が一番だ。
ほかの飲み方はすべてデメリットがあるため、やめたほうがいい。
(参照:ウィスキーの飲み方は、ニートで

というのが私の基本姿勢だが、そんな私がなぜオン・ザ・ロックにもこだわりを持つのか?
それはオン・ザ・ロックが、とてもカッコいい飲み方だからだ。

琥珀色のウィスキーの中に浮かんだ氷の塊、その氷が放つ光。
ゆっくりとグラスを傾けると、光がさまざまに反射する。
少しずつ融けていく氷が、時間とともに味と香りをグラデーションする。

飲み終わると、氷の塊はすこし小さくなっている。
手につかんだグラスを回すと、氷がグラスにぶつかってキレイで涼しい音を立てる。

透明な氷のオン・ザ・ロック


まさにオン・ザ・ロックは、照明が薄暗いバーでこそ生きる洒落た飲み方だ。
(ちなみに、季節は夏が一番だ。まだクーラーがなかった時代の紳士の飲み物のイメージ)

ただ、気をつけてほしい。
オン・ザ・ロックは、とてもダサくなりがちな飲み方でもある。

そのポイントは、氷の質だ。
もしあなたがオン・ザ・ロックを頼んで、業務用冷蔵庫で作ったような気泡だらけの氷で出てきたなら、そのバーでは二度とオン・ザ・ロックを頼んではいけない。最低限、氷は透明でなければならない。
それも、「オン・ザ・ロックス」ではなく「オン・ザ・ロック」の形でなければならない。
もしグラスの中に2つ以上の氷が入っていたなら、失格だ。
グラスの中の氷はただひとつ、大きな塊が入っていなければならない。

これらのこだわりには、もちろん根拠がある。
一杯のウィスキーを愉しむ最適な時間は15~30分だ。その時間をかけて、ゆっくりと融けていく氷が最低限オン・ザ・ロックの礼儀なのだ。そのためには、氷屋さんで作った氷でなければならず、バーはコストをかけなければならない。

オン・ザ・ロックは、冷えていればいいというものじゃない。
もし冷凍庫から出てきた氷が何個か適当に入っていたら、すぐ溶けて、何を味わっているのか分からないままにそのウィスキーを飲み干さなければならなくなる。これはつくり手に失礼な飲み方だ。

とにかく氷の質で判断してほしい。
氷の質にこだわるバーでは、溶けにくいように表面積が小さくなるカットがされているだろう。球体になっていたり、ダイヤモンドカットだったり。

それらの氷の工夫を眺めることも、オン・ザ・ロックの魅力だ。
ともかく、オン・ザ・ロックは氷にこだわってほしい。




レビュー:クライヌリッシュ 14年

CLYNELISH(クライヌリッシュ)14年を飲んだ。85点。

【評価】
目を閉じて香りを愉しめば、木箱の上の乾燥した花のブーケ。海の見える高台の草原。そして円熟味。ロウと蜜。
口に含めば、スパイシーでフローラルな香りが一瞬で水平に広がり、土、粘土、ピートの香りを残して立ち去る。
良い意味で驚きがなく、夜に静かに飲むと、明日への活力を与えてくれる一杯。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:CLYNELISH 14 years old (クライヌリッシュ14年 クライネリッシュとも表記)
地域:Highland ハイランド
樽: Bourbon, Oak, バーボン、オーク
ボトル:Distillery Model,  オフィシャルボトル




クライヌリッシュ蒸留所はスコッチ・ウィスキーの最北に位置している蒸留所。

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レビュー:余市1994 18年 SMWS 116.18

Scotch Malt Wisky Societyの余市18年を飲んだ。発売とほぼ同時に完売したボトル。87点。

スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティはボトラーズブランドのひとつ。
(ボトラーズが何かということについてはこの記事を参照)


【評価】
鼻を近づけると、白檀の、高貴な香り。フローラルで、甘くうっとりし、体中の血液が踊る。
口に含むと、強烈な甘い香りが舌を襲い、ジリジリしながら甘いシビレを残して消えていく。バターの感じ。喉の奥に余韻を長く残す。
ウッディで大人の味ながら、無骨さや正直さ、強い主張が感じられる。
他にはないジャパニーズウィスキーの味わい。

【Kawasaki Point】
87point


【基本データ】
銘柄:116.18 Yoichi 1994 18年(余市 1994年 18年熟成)
地域:余市(北海道)
樽: Refill Butt (おそらくRefill Sherry Butt シェリー樽)
ボトル:Scotch Malt Wisky Society スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティ


SMWS(=スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティ≒通称:ソサエティ)では、
それぞれの蒸留所に独自のNo.をつけており、余市蒸留所は116番。
そして今回は余市の中で18番目のリリース。なので、「116.18」というボトルの表記になっている。


北海道は余市蒸留所の場所を確かめてほしい。

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ご参考までに:竹鶴の夢 余市蒸留所紹介ムービー



レビュー: KILCHOMAN Sherry Cask 4yo

KILCHOMAN Sherry Cask 4yo(キルホーマン シェリーカスク 4年熟成)を飲んだ。
キルホーマン蒸留所といえば2005年にできたばかりのアイラ島の蒸留所。
最も西にある蒸留所。

【評価】
鼻で感じる浅めのシェリーの香り。口に含むと、蜂蜜、マルメロの甘煮、洋ナシのタルトタタン、余韻で淡いピートとシェリーの香りが混じる。
繊細でパンチに欠けるが、バランスがよく、4年ものということを考慮すれば上出来。


【Kawasaki Point】
76point


【基本データ】
銘柄:KILCHOMAN Sherry Cask 4yo 2007(キルホーマン シェリーカスク 2007 4年熟成)
地域:ISLAY アイラ
樽: Sherry シェリー樽
ボトル:Distillery Model,  オフィシャルボトル







キルホーマン蒸留所はスコッチ・ウィスキーの蒸留所の中で、最も西に位置している。

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レビュー:BIG PEAT CHRISTMASH

BIG PEAT CHRISTMAS(ビッグピート クリスマス)を飲んだ。76点。
昨年のクリスマス記念ボトル。
なんと、ポートエレン、アードベッグ、カリラ、ボウモアのアイラ島の4つの蒸留所を混ぜたクセモノ。
近年、高価格化しているポートエレンなどは多く入っているはずはないが、エッセンスは感じる。
ちょっと乱暴だけれども、なかなかどうして。

【評価】
鼻で吸い込むと、ラフロイグのような煙たさ。奥に甘さ。ビックピートの名に恥じぬ、ピートの効きっぷり。
口に含むと刺激、華やかな蜜、口中にどんどん拡張していく香り。そして清流を感じる。ジャズのピアノ二重奏のような味わい。さほど深みはないが、ピートを味わうウィスキー。


【Kawasaki Point】
76point


【基本データ】
銘柄:BIG PEAT “CHRISTMAS” (ビッグピート クリスマス)
地域:ISLAY アイラ
樽: Bourbon, バーボン ※詳細不明
ボトル:DOUGLAS LAING ダグラスレイン社

嵐の吹き荒れるボトルデザイン。
確かにピートの嵐を感じるウィスキー


今は操業していないポートエレン。Google Mapで場所を確かめてみて。

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ウィスキーの飲み方は、ニートで。

結局、ウィスキーの一番美味しい飲み方はなんだろうか?

ご存知のようにウィスキーには飲み方の種類がいくつかある。
ストレートや、水割り、なかでもトワイスアップや、オン・ザ・ロックやら、ホットウィスキー、最近流行りのハイボール(ソーダ割り)などがある。

それぞれの飲み方に薀蓄があり、人によって流儀が決まっている場合もあるし、同じ人でもその日の気分や、このウィスキーにはこの飲み方、みたいに決めている人もいる。

だから、インターネット上に存在するどの記事を読んだって「正解の飲み方はない。好きなように飲むのが一番」と書かれている。どのバーで尋ねても、おそらくそんな答え方をされるに違いない。

ただこの記事にたどり着いたあなたには、上記のような毒にも薬にもならないような言葉ではなく、本当に私が一番良いと思っている飲み方を言ってあげたい。すなわち、、


ウィスキーはニートで飲んでください、と。


ウィスキーをいつでも一番安定して、美味しく飲めるのがニートだ。
ニートとは、ストレートのこと。Non Employment or Education... ではなく、NEATで、スコットランドでは「気ままに」という意味らしい。


ニート(ストレート)が一番美味しい3つの理由

1. 作り手の意図を感じられる
ウィスキーを瓶詰めする際のアルコール度数に、作り手はこだわりがある。そのウィスキーの香りがもっとも良く、個性が際立つアルコール度数まで加水して、瓶詰めされているのだ。アルコールの度数というのは、そのウィスキーの香り体験に大きな影響を与える。マスターブレンダーが「これで飲んでくれ」という状態が、瓶詰めされたままの状態なのだ。

2. 冷やすと香りが飛ぶ
ウィスキーは常温で味わってほしい。温度が低いと、人間は香りや味に対して鈍感になってしまう。
常温のコーラが甘ったるいのと同じで、冷やしたウィスキーは味気ない。

3. 加水すると繊細さが失われる
当たり前だが、加水するとウィスキーは薄まり、繊細な味と香りが消失してしまう。ただ、加水は非常に悩ましい。なぜなら、加水することにより気がつくことのできる香りも存在するからだ。しかし飽くまでも加水は、ストレートで味わった後の、補助的な愉しみ方だろう。


だからウィスキーを飲むなら、ニート(ストレート)で味わってほしい。

ニートのウィスキーと、チェイサー(ソーダ。光の関係で琥珀色に見える)

以上、賛否両論あるかもしれないが、それがまたウィスキーを飲む夜を楽しくさせる。
飲み方も意見も、ニート(気ままに)で。

レビュー:TOMATIN 12

TOMATIN (トマーティン) 12年を飲んだ。65点。ちなみに開けたてのボトル。

【評価】
グラスを鼻にやると、ヨード香、乾いた板材の香り。口に含むと、オールドボトルに感じるような醤油臭さ(シェリー由来だろう)、穏やかに口中に染み渡り、複雑さを垣間見せながら、穏やかなままゆっくりと消えていく。強烈な主張はなく、卓越性は感じられない。麦とピートのバランスを味わうウィスキー。


【Kawasaki Point】
65point


【基本データ】
銘柄:TOMATIN 12 years old (トマーティン12年、トマーチンとも表記)
地域:Highland ハイランド
樽: Bourbon, Oak, Sherry バーボン、オーク、シェリー
ボトル:Distillery Model,  オフィシャルボトル







イギリスはトマーティン村の、トマーティン蒸留所のマップ
(プラスやマイナスのボタンを押して位置を確かめて)

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竹鶴の夢 余市蒸留所紹介ムービー

余市蒸留所の紹介ムービーを見つけた。
日本で初めてウィスキーを作ったのは竹鶴政孝(たけつるまさたか)だ。彼が単身スコットランド留学をした2年間がなければ、今のジャパニーズウィスキーはない。

その竹鶴政孝の紹介と、彼を知る人々のインタビュー、余市蒸留所の現場の映像が観られる。石炭直火蒸留はもちろん、スコットランドから表彰された樽職人や、貯蔵庫の職人の様子が映像で紹介されている。結構貴重だと思う。
また、次の若い世代にも職人の技術が継承されているのも窺える。

ところで余市には戦時中の、1945年の樽があり、どんなときもウィスキーを造り続けた竹鶴の熱さが偲べるそうだ。







ウィスキーの“オフィシャルボトル”の意味とは?

ウィスキー初心者がつまづきやすいポイントのひとつが「オフィシャルボトル」という言葉の意味がわからない、ということだ。「オフィシャルボトルと、それ以外のボトラーズボトルがあるようですが、どっちを飲んだらいいですか?」という質問もある。
これについて解説する。

最初に、「オフィシャル」という言葉のせいでよくある誤解を紹介しておく。
【誤解1】オフィシャル(公式)=本物
【誤解2】それ以外=ニセモノ、格下
この理解はウィスキーを語るときにはまったく違っていて、うっかりバーで口にすると恥ずかしいので、最初に注意しておかなければならない。


世に出ているウィスキーを2つに分けるとすると下のようになる。

世界に出回っているウィスキー = オフィシャルボトル + ボトラーズボトル
世界に出回っているウィスキーにはオフィシャルのボトルと、ボトラーズのボトルがある。あなたもこの2つの内、どちらかを飲んでいるはず。

オフィシャルボトルとはそのウィスキーを作っている蒸留所がつくったボトルのことだ。ディスティラリーボトルと呼ばれる(ディスティラリー=蒸留所)。(例:ボウモア蒸留所の作ったボウモア)
ボトラーズボトル(瓶詰め業者ボトル)とは蒸留所から樽を買った後に、あれこれして、ボトリング(瓶詰め)されて世に出たボトルのことだ。ボトラーズは、その樽を寝かせたり、他の樽に詰め替えたりして、「このウィスキー、いい感じになったぜ」と思ったときに世に出している。

だから同じ銘柄のウィスキーでも、オフィシャルもあれば、ボトラーズもある。
(例:ボウモアのオフィシャル、ボウモアのボトラーズ)

「では、同じ銘柄ではどちらを飲めばよいですか?」という質問に答える。
ずばり、好みだ

上の質問を、他のもので言い換えると分かりやすい。
オフィシャルかボトラーズかは、「肉屋さんの作ったハンバーグ」か「ハンバーグ屋さんの作ったハンバーグ」か、みたいなことなのだ。例えば松阪牛を売っている肉屋さんの作ったハンバーグを、“松阪牛オフィシャルハンバーグ”と呼んで、料理屋さんの作ったハンバーグを、“松阪牛の料理屋ハンバーグ”と呼んでいるようなもの。どちらがおいしいか?と言われれば、好みであるとしか答えようがないレベルのものだ。

オフィシャル、つまりディスティラリー(蒸留所)は「俺らが一番美味い。この香り、味が、このウィスキー」と思ってるだろうし、ボトラーズも当然「ディスティラリーが出すそのままより美味しいし、この方が個性が引き立つし、面白いだろ。俺こそがこのウィスキーの魅力を教えてやるよ」と思っていることだろう。



つまり、我々がウィスキーを飲むにあたっては、オフィシャルも、ボトラーズも大歓迎なのだ。

どちらを飲めば良いかなどと心配することなく、そのウィスキーが何であるか認識して、ただ飲めばよい。何を飲んだかさえ分かっていれば、もう一度頼むときにスムーズだからだ。


Kawasaki's Whisky Award 2012 ~2012年もっともオススメのウィスキー~


その年、もっとも輝いたウィスキーに贈られる Kawasaki's Whiskey Award が今年も発表されました。厳選なる審査の結果は下記のとおりです。


最優秀ウィスキー賞
~今年もっとも輝いたウィスキー。陰と陽をバランスし、飲む者の人生に深みを与える~

駒ケ岳 1985 Sherry Cask Strength (Age:27)

駒ケ岳 1985 Sherry Cask Strength (Age:27)


信州はマルス蒸留所の皆様、おめでとうございます。

“繊細な香りは、まるで香水のよう。香りのハーモニーにより、樽出しの60.7度ものアルコールはその強さを感じさせず、このウィスキーを支える必然となる。口に含むと、シェリー樽の木の繊維の一本一本を伝えてくるように、うまみと深みとコクが次々と展開される。思わずウットリするが、決してしつこくならず、次の一杯を「より味わうように」と誘われているかのよう。軽さと深さ、高音と低音、飲みやすさと味わい、相反する要素を見事に統合している。ジャパニーズウィスキーの最高峰に位置する逸品である”

あまりメジャーな銘柄ではありませんが、真摯なウィスキーづくりが審査員の心を揺さぶりました。2012年の最優秀ウィスキーという評価です。



最優秀新人賞
~今年もっとも驚きをもたらした若いウィスキー~

THE COOPERS CHOICE  LAPHROAIG 2005 (AGE:6)

THE COOPERS CHOICE  LAPHROAIG 2005 (AGE:6)


グラスゴーはバーズデンのブライアン・クルックさん、受賞おめでとうございます!

“わずか6年という若いウィスキーであるが、その成熟と骨格は信じられないほど。フレグランスはオイリーでスパイシー、スウィートでさわやか。しかし口に含むと、若いが、若いが、しっかりとしたラフロイグ。この若さでこの骨格を持っていることに驚かされる。まるで何かの宿命を背負って生まれてきた赤子の意志の強い目ような。フィニッシュは、長くデクレシェンドしていく。満足を与えてくれる一本”



最優秀技術賞
~今年もっとも高いウィスキー技術に贈られる。次のウィスキーの発展を予感させる~

THE LADDIE TEN (AGE:10)

THE LADDIE TEN (AGE:10)



アイラ島はブルイックラディ蒸留所のジム・マッキュワンさん、おめでとうございます!

“ノンピートであるが、アイラ島の湧き水を使うことによりピート香を感じさせ、グレープフルーツ、レモン、蜂蜜、本当にわずかなバター、潮、煙。爽やかで飲みやすいウィスキーに仕上がっている。何度飲んでもそのバランス感覚には舌を巻く。ウィスキーには珍しく、食前、食中、食後、いずれの場合にも合う。ボトルデザインも秀逸。日常のドリンクとしてのウィスキーと、フレグランスのアートとしてのウィスキー、その両面をバランスした、魂の主張が感じられる一本”
復活系蒸留所のBRUICHLADDICHの、復活後、最初の一本です。素材はすべてアイラ原産にこだわり、産業としてのウィスキーを発展させようとしているジム・マッキュワン氏の行動力も、審査員に高く評価されました。




最優秀特殊効果賞
~こんなウィスキー、アリ!?と思わずつぶやくウィスキーに贈られる~

OCTMORE シリーズ(特に5)

アイラ島はブルイックラディ蒸留所のジム・マッキュワンさん、またしてもおめでとうございます!

“世界一のピート。これまでの世界一であったアードベックのフェノール値を、3倍以上にして更新するという、ぶっちぎりの世界一を突然成し遂げ、ウサイン・ボルトが如く、自らの世界記録を塗り替え続けている。なぜこんなにピートを効かせても、ウィスキーとして成立するのか。オクトモアの5番目のリリースではサブタイトルが「ベルベット手袋の中の鉄拳」であった。最初は、世界一のピートも、59.5度のアルコールも感じさせない。飲むと穏やか。しかし、飲んだあと徐々に、アルコールが上がってきて、強烈なピート香を感じさせ、虜にさせる。まさに、ベルベット手袋の中の鉄拳。新しいウィスキー体験を作り上げた一本”
復活した蒸留所ですが、挑戦者としての姿勢をとり続けていることが、審査員にも注目されたようです。




特別功労賞
~長年の功労をたたえる賞です~

White Oak あかし (AGE:14)


White Oak あかし (AGE:14)

明石は江井ヶ嶋酒造のみなさん、おめでとうございます!

さまざまな樽の実験を積み重ねておられる江井ヶ嶋酒造のこの「あかし」は、焦がしの香ばしさ、澄んだ麦の香り、マスカットフレーバーが絶妙に調和している。白ワイン樽フィニッシュが心憎い。文句なく美味いが、出会えることの少ないウィスキー。

新作のリリースも待ち遠しいですね。長く続けていただきたいと審査員一同申しております。


以上、Kawasaki's Whiskey Award 2012 でした。
来年も皆様が良いウィスキーに出会えますように。良いお年を。