レビュー:ボウモア 2000 13年 ケイデンヘッド 狂おしく弾けて・・・

Bowmore 2000 13yo CADENHEAD SMALL BATCH(ケイデンヘッドのスモールバッチシリーズ、ボウモア2000年蒸留 13年熟成)を飲んだ。87点。
ケイデンヘッドとは1842年創業のスコットランドの歴史あるボトラーだ。スモールバッチとは、少量生産のこと。ウィスキーは、同じ蒸溜所、同じ熟成年数であっても、樽ごとに個性があるので、さまざまな味のバリエーションが可能だ。
さて、このボウモアの香味やいかに。

ケイデンヘッド スモールバッチ ボウモア2000 13年

【評価】
グラスから立ち上る香りをかぐ。石の表面を撫でて、靴の底で灰のなかでくすぶっている火を消す。誰かがグレープフルーツを大きな手でぎゅうっと潰す。それが灰に落ちてジュゥッという。
口に含めば、これは情熱のボウモア。狂おしく弾けて方々に飛んでいく。
後に残るは甘い香り。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄: Bowmore 2000 13yo CADENHEAD SMALL BATCH(ケイデンヘッドのスモールバッチシリーズ、ボウモア2000年蒸留 13年熟成)
地域:Islay (アイラ)
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:WILLIAM CADENHEAD, ウィリアム・ケイデンヘッド

ヘイデンヘッド スモールバッチ

灰のなかでくすぶっている火を消す

後に残るは甘い香り



このウィスキーが生まれたのは、イギリスはスコットランドの小さな島「アイラ島」にある、ボウモア蒸溜所だ。Bowmoreとはゲール語で“大きな岩礁”という意味。場所をmapで確かめてみて。




レビュー:グレングラント 1993 20年 サマローリ バランスより荒削りな・・・

Glen Grant 1993 20yo SAMAROLI(グレングラント 1993 20年熟成 サマローリ)を飲んだ。85点。
イタリアでもっとも飲まれているシングル・モルトとして有名なグレングラント。サマローリというイタリアのボトラーズ(ボトラーズとは?)のこの一杯は、どのような香味なのか。

グレングラント1993 20年

【評価】
グラスを傾け鼻に近づければ、清流と熱い炎を同時にイメージするような香り。麦畑をなぜた風が、さーっと吹き込む。青空。荒く削った木。
唇にグラスの縁をつけ脚を上げれば、清流が口の中に流れ込んでくる。爽やかな風なのに、穏やかで、世界を俯瞰するような気持ちにさせる。
若いのに穏やか。バランスより荒削りな情熱。昼間に乾杯したい酒。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Glen Grant 1993 20yo SAMAROLI(グレングラント 1993 20年熟成 サマローリ)
地域:Higland, ハイランド
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:SAMAROLI、サマローリ


バランスより荒削りな情熱

サマローリのボトルは美しい曲線の花が描かれている

GLEN GRANT

テイスティングノートもデザイン性が高い

爽やかな風なのに、穏やか




レビュー:トマーティン ク・ボカン イチゴのうまみを・・・

CU BOCAN Tomatin(トマーティン ク・ボカン)を飲んだ。75点。
トマーティン蒸溜所の地域で語り継がれる伝説の「魔犬」の名前が「ク・ボカン」だそう。何でもその魔犬は、牛のように大きな黒いカラダをもち、目は赤くとがっており、目撃した村人は濃紺の煙を上げて大地に吸い込まれるそうな。そして大地からは・・・、大変に上質なピート(ウィスキーにスモーキーフレーバーを与える燃料)が採れるそうな。
ラベルは煙で描かれたワンちゃんの顔らしきものが・・・。さて、このウィスキーの香味やいかに。

ク・ボカン 魔犬の名前

【評価】
グラスにそっと鼻を近づける。ほんのりとした煙。うすいイチゴ水。強い香水としての主張。
口に含めば、新品の黒板の表面をじっと眺めているかのような。おだやかでイチゴのうまみを噛み締めるかのような、ライトなウィスキー。

【Kawasaki Point】
75point

【基本データ】
銘柄:CU BOCAN Tomatin(トマーティン ク・ボカン)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

シンメトリーの不思議な“煙”

「リッチな柑橘とエキゾチックなスパイスがほんのりとした煙と絡み合う」

うすいイチゴ水。強い香水としての主張。

イチゴのうまみを噛み締めるかのような




レビュー:竹鶴21年 ノンチルフィルタード 地球儀の丸みに・・・

竹鶴21年熟成ノンチルフィルタード(Taketsuru 21yo Non Chill Filtered)を飲んだ。86点。
ニッカ80周年のリリースボトルの一つ。「ノンチルフィルタード」とは、冷却濾過をしていないという意味。自然の樽で熟成させるウィスキーには、さまざまな成分が溶け込むが、たいていのウィスキーは製品の透明度を上げるために、瓶詰め前にウィスキーを冷却し、出てきた澱を取り除く。そのメリットはウィスキーを冷やしても沈殿物がでないことだが、デメリットは澱(=繊細な香り成分)をいくつか失ってしまうことだ。
だからわざわざ「ノンチルフィルタード」と書くのは、「澱が出ることもあるけど自然の香りを味わって」というアピールだ。

さて、この竹鶴21年の香味やいかに。

竹鶴21年熟成 Non-Chill

【評価】
グラスに鼻を近づければ、杏(あんず)、複雑な香ばしさ。うっすらと煙をたいて。イチゴなどのベリー系を彷彿。
口に含めば、スカッとした爽やかさとともに、重厚だがやわらかいフレーバー。地球儀の丸みに感心しながらくるくるまわすような。どっしりとした重たい地球儀。だがとても滑らかに回る。
歴史の授業のノスタルジー。

【Kawasaki Point】
86point

【基本データ】
銘柄:竹鶴21年熟成ノンチルフィルタード(Taketsuru 21yo Non Chill Filtered)
地域:Japan, 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

Pure Maltとあるのは、
Malt(麦)から作られたウィスキー100%という意味。

80周年記念ボトル
ニッカはジャパニーズウィスキーの父が創業した会社である

自らの名を冠したウィスキーが出ようとは・・・
今日をジャパニーズ・ウィスキーの父はどのように眺めるだろう

杏(あんず)、複雑な香ばしさ。

どっしりとした重たい地球儀。だがとても滑らかに回る。