2015年3月29日日曜日

レビュー:SMWS 春の試飲会 2015 ~12本のレビューを一挙掲載~

移り変わる季節ごとに開催される、スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティの春の試飲会に行ってきた。(The Scotch Malt Whisky Society Spring Bottles Sampling)
5,000円(会員4,000円)でニューリリースのウィスキー12本が飲めるというイベントで、複数都市で開催されている。飲むといっても、まともに1杯ずつ飲んでいたら大変なので、実際には少量ずつ味わいを確認する。

世界最大のウィスキー愛好家団体といえばこの「スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティ」だが――長いので呼称は「SMWS」とか単に「ソサエティ」とかが多い――蒸溜所に独自のコードをつけ、同じデザインのボトルで、中身だけ変えて会員に頒布している。その独特なボトルと「ソサエティ」という響き、イギリスはエディンバラに本部があることから、なんだかミステリアスな雰囲気が漂っている。


さて、今回も12本のウィスキーをランキング形式で一挙紹介する。

今回はどのようなウィスキーが?どのような香りが?
2015春のサンプリング会

第12位
55.25 Royal Brackla (ロイヤルブラックラ 1994 20年熟成)
【Kawasaki Point】
78point
【評価】
その香りは、黒タイヤ新品。鬱蒼とした森の中を散歩する。光は届かないがさまざまな香りに満ちている。
口に含めば、湿った土の上を踏みしめる。

同点第10位
85.30 Glen Elgin (グレンエルギン 1999 15年熟成)
【Kawasaki Point】
79point
【評価】
その香りは、蚊取り線香。
口に含めば、通り過ぎていく味わい。

同点第10位
123.9 Glengoyn (グレンゴイン 1998 16年熟成)
【Kawasaki Point】
79point
【評価】
漂う香りは、湖と夜中、黒い雲。
口に含んでみれば、湖に潜って、水が湧いてくるところが辿れるかのよう。

ほぼ同じボトルデザインだが、ボトルには蒸溜所を示す数字がある


第9位
7.104 Longmorn (ロングモーン 1989 24年熟成)
【Kawasaki Point】
81point
【評価】
グラスから立ち上る、スイカやブドウの瑞々しい香り。甘いガムすら彷彿させる。木材の角の部分に指を当てて、その直角さを味わいながら指で長辺をまっすくなぞる。
口に含めば、濃密な味わいが絡まって、ほどけずにそのまま徐々に消えていく。
謎めいたままのウィスキー。

第8位
3.228 Bowmore (ボウモア 1987 26年熟成)
【Kawasaki Point】
83point
【評価】
グラスに鼻を近づければ、保健室の消毒液。ヨード。古い軽油で動くエンジン。ガレージ。
古き良きボウモア。

同点第6位
4.200 Highland Park (ハイランドパーク 1999 14年熟成)
【Kawasaki Point】
85point
【評価】
グラスから立ち上る香りをそっと吸い込む。ブレッド、スウィートコーン、水時計。透明な着色液体が落ちるのをずっと見ている。切ったばかりの切り株。
口に含めば、スッキリしているのに血が踊るような熱さを秘めている。

12個のグラスが並ぶ

同点第6位
72.38 Miltonduff (ミルトンダフ 1984 28年熟成)
【Kawasaki Point】
85point
【評価】
香りの中を覗いてみる。アンティークショップの鉄とガラスの扉を開けると、古い木の香りがする。ドアにはベルが付いていて透き通ったような、くぐもったような音がなる。
グラスを傾け口に含めば、ダージリンティーと一緒に出された小さなクッキー。砂糖を一個紅茶に入れる。
ホッとする午後。

同点第4位
53.216 Caol Ila (カリラ 1993 21年熟成)
【Kawasaki Point】
86point
【評価】
グラスから立ち上るアロマは、牧草地、干し草。鍬。泥と野焼き。
口に含む。赤黒く日焼けした農夫の深い皺。優しい笑顔。

同点第4位
44.62 Craigellachie (クレイゲラヒー 1990 24年熟成)
【Kawasaki Point】
86point
【評価】
その香りをかぐ。夏、蚊帳、物語。い草と風鈴。涼しい風と心地よい眠り。
口に含めば、まるでハチミツを口の中で溶かしてるような。
うとうととして、心地よい夢を見続けていたいような。

参加者はさまざまに愉しむ

第3位
29.158 Laphroaig (ラフロイグ 2000 14年熟成)
【Kawasaki Point】
87point
【評価】
グラスから立ち上る香りをかぐ。万年筆の液が漏れて、原稿を拭いていると、チキンのグリルを少し焦がしてしまった。ログハウスでの出来事。
口に含む。映像は続く。棚の奥から出してきたウィスキーを、タンブラーで飲み始める。パイプをくゆらす。

第2位
48.52 Balmenach (バルメナック 2001 13年熟成)
【Kawasaki Point】
88point
【評価】
その香りは、扇風機とピーチ。冷んやりしたアイス。
口に含む。ずっと舐めていられるキャンディーを手に入れた子供のように。少しのキャラメルのコクも味わう。



さあ、今回の1位はなんだろうか?

酔っ払わないよう注意!

第1位
30.83 Glenrothes (グレンロセス 1980 34年熟成)
【Kawasaki Point】
89point
【評価】
グラスから立ち上るのは、ヴィブラフォンの右端を鳴らしたような透き通った香り。鉄のペダルを踏むとわずかに広がりながら倍音が響く。明け方の海岸で見つける火の跡。炭になってる木片を足で少しずらす。
口に少量含む。フェリーが通って波が大きくなり、水しぶきが口の中に入る。すこししょっぱい。
音楽になる静けさ。



サンプリング会は終わった。日が長くなり始めたこの頃は外がまだ明るい。少し肌寒いが、冬を思えばむしろ暖かささえ感じる。
振り返ってみて、今回はどのボトルもおおむね満足度が高かった。これはほとんどの参加者が感じたようだ。それでももちろん、各々が一押しにするウィスキーは異なっており、それぞれの意見を交換し合った。どの表現も素晴らしく、敬意を払われていて、参加者はウィスキーを愉しむのと同じぐらいその語らいも楽しんだ。




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