書評:北のライオン 大人のウィスキー漫画

もしも、ウィスキーのことを好きになる、ちょっとほろ苦くて、大人の、キレイな一枚一枚の絵がつらなった、粋なストーリーの漫画があったなら・・・?

北のライオン(1)
北のライオン(1)

ぜひ紹介したい漫画がある。『北のライオン』は、まさに冒頭に挙げたような要素のつまった漫画だ。コミック版はA4版で全ページフルカラー、わせせいぞうの綺麗な絵をじっくり眺めるのにふさわしいサイズだ。(Kindle版もあるけれど、この作品に関しては印刷の美しさが意味をもってくると思う。今ドキちょっと珍しい・・・)

毎回、ひとつのウィスキーがさらりとおシャレに登場する。決してウィスキーのウンチクが主体の漫画ではない。ウィスキー自体と、それよりももっとウィスキーを取り囲む人々への愛にあふれている作品だ。

主人公のライオンは、日本語が話せない。Keiko's Barという、亡き妻の名をとったバーを営んでいる。バーを訪れる人々のさまざまなストーリーが、どのコマをとっても額に入れて壁に飾りたいような絵で、しっとりと展開していく。

さびしい男の背中・・・、かつて愛した恋人・・・、きっぱりとした強い女の飲み方・・・、大和撫子な女の小唄・・・、故郷を想う人の・・・・

どの客人に対しても、ライオンは多くを語らず、いつもやさしい。
実際、現実のバーでも多くの「ちょっと良い話」がたくさんあると思うが、それらは毎夜、当事者の記憶の中だけに留まり生きつづけていく。だからバーという場所は、初心者にはわかりづらく、当事者にとっては大切な場所になる。
この作品は、そういったほとんど世に出ることのないバーでの「良い話」や、「大人の美しさ」みたいなものを、ライオンのKeiko's Barへ美しく投影しているのだろう。


ウィスキー好きに贈りたい秀逸な作品。


北のライオン(1)
北のライオン(1)




レビュー:アベラワー1994 18年 モリソン&マッカイ 狂おしいほどの麦

ABERLOUR 1994 18yo MORRISON & MACKAY Seriese:WORLD WONDERS(モリソン&マッカイのワールド・ワンダーズ アベラワー 1994 18年熟成)を飲んだ。88点。
毎回、世界の7建造物がラベルに描かれる「ワールドワンダーズ」のシリーズだが、今回のラベルは、アレクサンドリアの大灯台(Lighthouse of Alexandria)で、紀元前300年ごろ(古代エジプト)のお話。134mという高さを誇り、当時では世界でも最も高い建造物のひとつだったようだ。なんでも「攻めてくる敵の船をこの灯台の鏡で太陽の光を照射し、燃やすことができた」という伝説もあるようだ。
それが本当だったかなんてのは野暮な話だが、、さてはて、肝心の中身の香味やいかに?

アべラワー1994 18年熟成

【評価】
グラスから立上るのは、芳醇な麦麦しさと柾目の木の板がバランスし、墨汁の深み、スパッと割ったばかりの木の表面の清々しさ。
口に含めば、焦がした飴と、焦がした松の葉。花の蜜が舌を襲い、それが次には熱くジリジリと燃えながら、そのまま非常に長い余韻を楽しませる。
狂おしいほどの麦の魅力のプレゼンテーション。その香りの多面さよ。

【Kawasaki Point】
88point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄: ABERLOUR 1994 18yo(アベラワー 1994 18年熟成)
地域: Highland, ハイランド
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:MORRISON & MACKAY, モリソン&マッカイ

アレクサンドリアの大灯台が描かれている

1994年1月2日蒸留、2012年11月6日ボトリング

すぱっと割ったばかりの木の表面の清々しさ

熱くジリジリと燃えながら、非常に長い余韻を楽しませる






レビュー:ブレチン1970 33年熟成 ダグラスレイン あぁ、美しい

BRECHIN1970 33yo Douglas Laing Old&Rare (ダグラスレイン社のオールド&レアシリーズ ブレチン1970 33年熟成)を飲んだ。89点。
BRECHINはブレチン(あるいはブレキン)と読む、スコットランド北部の街名。30年ぐらい前に閉鎖された蒸留所で、ブレチン蒸留所あるいは、ノースポート蒸留所ともいったようだ。まさに「オール&レア」シリーズにふさわしいウィスキーだが、果たして、その香味やいかに?

ブレチン1970 33年熟成

【評価】
グラスに鼻を近づければ、目が覚めるような香り。甘い麦も感じさせるが、ストレートな細い香りがすぅっと脳の奥まで届く。草原の朝。宇宙の果てまでもっていかれそうな奥深さ。
口に含めば、とても綺麗にまとまりアートにまで昇華されたアクアリウム(水槽)を眺めているよう。スパイスも土っぽさも麦も含まれている。その全てが調和して、美しいハーモニーを奏でる。
あぁ、美しいウィスキー。

【Kawasaki Point】
89point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:BRECHIN1970 33yo Old&Rare Series (オールド&レアシリーズ ブレチン1970 33年熟成)
地域:Highlanda, ハイランド
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:Douglas Laing, ダグラスレイン社

プラチナム オールド&レア シリーズ

1970年蒸留、2003年ボトリング


あぁ、美しいウィスキー

ブレチンという都市はこのあたりにある。場所を地図で確かめてみて。

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レビュー:グレンマレイ1977 36年熟成 スパイスのプレゼン

GLENMORAY 1977 36yo(グレンマレイ 1977 36年熟成)を飲んだ。83点。
125本の限定ボトルで、The Laich とあるのは地名だ。ラベルの説明によれば「40日間の特別な夏」がこのウィスキーを熟成させるようだ。
さてはてその香味とは。


グレンマレイ1977年仕込み 36年熟成

【評価】
グラスから立上るのは、崇高な香り。少しの甘みと、焦がしたフルーツ。石っぽさ。
口に含めば、スパイシーな樽香が折り重なる。麦の旨味を味わわせながら、最後まで変化するスパイスをプレゼンテーションする。

【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:GLENMORAY 1977 36yo(グレンマレイ 1977 36年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

1977年5月3日仕込み、2013年2月20日に瓶詰め。

ELGIN CLASSIC

蒸留所の限定ボトル


崇高な香り。少しの甘みと、焦がしたフルーツ。

最後まで変化するスパイスをプレゼンテーションする

グレンマレイ蒸留所の位置を地図で確かめてみて。

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