レビュー:SMWS 夏の試飲会 2015 ~12本のレビューを一挙掲載~

日がだいぶ長くなってきた。季節毎に開催されている、スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティの夏の試飲会に行ってきた。(The Scotch Malt Whisky Society Summer Bottles Sampling)
5,000円(会員4,000円)でニューリリースのウィスキー12本の試飲ができる、という会だ。スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティ(“SMWS”、または単に“ソサエティ”などと呼ばれる)は、世界最大のウィスキー愛好家団体で、そのボトルの豊富さと、統一されたデザインのスタイルにはファンが多い。

さあ今回もテイスティングした12本のボトルをランキング形式で一挙紹介しよう。


12個のグラスが並ぶ。それぞれの味わい


第12位
35.131 Glen Moray 1994 19yo (グレンマレイ 1994 19年熟成) 
【Kawasaki Point】
56point
【評価】
その香りは、芳ばしいバターケーキ。キャラメル。アールグレイ。
口に含めば、じっくり焼きすぎた魚の焦げの部分みたいな。


第11位
59.53 Teaninich 1983 31yo (ティーニニャック 1983 31年熟成) 
【Kawasaki Point】
67point
【評価】
骨董屋。埃っぽい棚の上にいかにも重要そうに飾られた地球儀。
万年筆のインクを滲ませつつ書かれる領収書。


第10位
29.160 Laphroaig 1997 17yo (ラフロイグ 1997 17年熟成) 
【Kawasaki Point】
73point
【評価】
かつて診療所であった孤島の小さな建物。
寂しげな夕刻の日差しが窓から差し込む。


ウィスキーの静かな語らい



第9位
3.238 Bowmore 1997 17yo (ボウモア 1997 17年熟成) 
【Kawasaki Point】
76point
【評価】
ヨードチンキ。い草。落ち着く香り。
どこか水のようなさらりとしたところもある。


第8位
1.187 Glenfarclas 1985 29yo (グレンファークラス 1985 29年熟成) 
【Kawasaki Point】
78point
【評価】
夏の農作業。野焼き。
生のトウモロコシをかじったようなジューシーさ。


第7位
55.27 Royal Brackla 1997 17yo (ロイヤルブラックラ 1997 17年熟成) 
【Kawasaki Point】
83point
【評価】
カラフルでトロピカルな鳥。バサバサと飛び立つ。アンリ・ルソーの夢。
しっかりとした生命力。剛健。


リリースされたウィスキーのカタログ


第6位
3.240 Bowmore 1998 16yo (ボウモア 1998 16年熟成) 
【Kawasaki Point】
84point
【評価】
わらび餅、きな粉。樹液。
口の中に少量の煙が広がって、思わず噛み締めたくなる。


第5位
36.84 Benrinnes 1989 25yo (ベンリネス 1989 25年熟成) 
【Kawasaki Point】
85point
【評価】
清涼な山の空気。峰を眺める。稜線を指でたどる。爽やかな気持ち。
ドロップ飴をなめているかのような甘み。歩き疲れたあとの山頂でのハイなランチ。


穏やかな照明


同点第3位
37.63 Cragganmore 1985 29yo (クラガンモア 1985 29年熟成) 
【Kawasaki Point】
86point
【評価】
小豆を蒸して、涼しげなゼリーに閉じ込めたような。和風の香草をいくつか。
涼しげな顔とは裏腹に、熱く溶け込み、口腔内を塗り替える。禅画の情熱的な筆致。


同点第3位
7.117 Longmorn 1990 24yo (ロングモーン 1990 24年熟成) 
【Kawasaki Point】
86point
【評価】
森のコテージ、鳥の声。かみたばこのかおり。落ち葉の掃除。
古い本のページを少しめくる。集中できずに外に目をやる。ほっと一息つく。



さて、今回は2本が同点1位だ。どんなウィスキーたちだろうか?


そのウィスキーとは

同点1位
77.37 Glenord 2001 13yo (グレンオード 2001 13年熟成) 
【Kawasaki Point】
87point
【評価】
機械オイル、ガソリン。雨の中の作業で冷えたからだを、ヤカンの前で温めよう。
自らを温めるために飲む。男のウィスキー。


同点1位
30.84 Glenrothes 1980 34yo (グレンロセス 1980 34年熟成) 
【Kawasaki Point】
87point
【評価】
初夏の早朝、朝霧。森から抜けると、開けた草原。徐々に息を整える馬。
溶岩石に水が落ちる。滝のほとり。足を伸ばして馬と休もう。


注がれたウィスキーと、語らい


飲み語りしたあとで外にでると、驚くほどまだ明るく、暗くなる兆しも感じさせなかった。春のサンプリング会のときと違う明るさに、季節が移り変わったのだと、ふつうのコトながらしみじみ想う。
つぎのサンプリング会では、一体どのようなウィスキーに出会えるのだろうか。




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