ラベル エッセイ:ウィスキーの知識 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル エッセイ:ウィスキーの知識 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

ウィスキーの飲み方は、ニートで。

結局、ウィスキーの一番美味しい飲み方はなんだろうか?

ご存知のようにウィスキーには飲み方の種類がいくつかある。
ストレートや、水割り、なかでもトワイスアップや、オン・ザ・ロックやら、ホットウィスキー、最近流行りのハイボール(ソーダ割り)などがある。

それぞれの飲み方に薀蓄があり、人によって流儀が決まっている場合もあるし、同じ人でもその日の気分や、このウィスキーにはこの飲み方、みたいに決めている人もいる。

だから、インターネット上に存在するどの記事を読んだって「正解の飲み方はない。好きなように飲むのが一番」と書かれている。どのバーで尋ねても、おそらくそんな答え方をされるに違いない。

ただこの記事にたどり着いたあなたには、上記のような毒にも薬にもならないような言葉ではなく、本当に私が一番良いと思っている飲み方を言ってあげたい。すなわち、、


ウィスキーはニートで飲んでください、と。


ウィスキーをいつでも一番安定して、美味しく飲めるのがニートだ。
ニートとは、ストレートのこと。Non Employment or Education... ではなく、NEATで、スコットランドでは「気ままに」という意味らしい。


ニート(ストレート)が一番美味しい3つの理由

1. 作り手の意図を感じられる
ウィスキーを瓶詰めする際のアルコール度数に、作り手はこだわりがある。そのウィスキーの香りがもっとも良く、個性が際立つアルコール度数まで加水して、瓶詰めされているのだ。アルコールの度数というのは、そのウィスキーの香り体験に大きな影響を与える。マスターブレンダーが「これで飲んでくれ」という状態が、瓶詰めされたままの状態なのだ。

2. 冷やすと香りが飛ぶ
ウィスキーは常温で味わってほしい。温度が低いと、人間は香りや味に対して鈍感になってしまう。
常温のコーラが甘ったるいのと同じで、冷やしたウィスキーは味気ない。

3. 加水すると繊細さが失われる
当たり前だが、加水するとウィスキーは薄まり、繊細な味と香りが消失してしまう。ただ、加水は非常に悩ましい。なぜなら、加水することにより気がつくことのできる香りも存在するからだ。しかし飽くまでも加水は、ストレートで味わった後の、補助的な愉しみ方だろう。


だからウィスキーを飲むなら、ニート(ストレート)で味わってほしい。

ニートのウィスキーと、チェイサー(ソーダ。光の関係で琥珀色に見える)

以上、賛否両論あるかもしれないが、それがまたウィスキーを飲む夜を楽しくさせる。
飲み方も意見も、ニート(気ままに)で。

竹鶴の夢 余市蒸留所紹介ムービー

余市蒸留所の紹介ムービーを見つけた。
日本で初めてウィスキーを作ったのは竹鶴政孝(たけつるまさたか)だ。彼が単身スコットランド留学をした2年間がなければ、今のジャパニーズウィスキーはない。

その竹鶴政孝の紹介と、彼を知る人々のインタビュー、余市蒸留所の現場の映像が観られる。石炭直火蒸留はもちろん、スコットランドから表彰された樽職人や、貯蔵庫の職人の様子が映像で紹介されている。結構貴重だと思う。
また、次の若い世代にも職人の技術が継承されているのも窺える。

ところで余市には戦時中の、1945年の樽があり、どんなときもウィスキーを造り続けた竹鶴の熱さが偲べるそうだ。







ウィスキーの“オフィシャルボトル”の意味とは?

ウィスキー初心者がつまづきやすいポイントのひとつが「オフィシャルボトル」という言葉の意味がわからない、ということだ。「オフィシャルボトルと、それ以外のボトラーズボトルがあるようですが、どっちを飲んだらいいですか?」という質問もある。
これについて解説する。

最初に、「オフィシャル」という言葉のせいでよくある誤解を紹介しておく。
【誤解1】オフィシャル(公式)=本物
【誤解2】それ以外=ニセモノ、格下
この理解はウィスキーを語るときにはまったく違っていて、うっかりバーで口にすると恥ずかしいので、最初に注意しておかなければならない。


世に出ているウィスキーを2つに分けるとすると下のようになる。

世界に出回っているウィスキー = オフィシャルボトル + ボトラーズボトル
世界に出回っているウィスキーにはオフィシャルのボトルと、ボトラーズのボトルがある。あなたもこの2つの内、どちらかを飲んでいるはず。

オフィシャルボトルとはそのウィスキーを作っている蒸留所がつくったボトルのことだ。ディスティラリーボトルと呼ばれる(ディスティラリー=蒸留所)。(例:ボウモア蒸留所の作ったボウモア)
ボトラーズボトル(瓶詰め業者ボトル)とは蒸留所から樽を買った後に、あれこれして、ボトリング(瓶詰め)されて世に出たボトルのことだ。ボトラーズは、その樽を寝かせたり、他の樽に詰め替えたりして、「このウィスキー、いい感じになったぜ」と思ったときに世に出している。

だから同じ銘柄のウィスキーでも、オフィシャルもあれば、ボトラーズもある。
(例:ボウモアのオフィシャル、ボウモアのボトラーズ)

「では、同じ銘柄ではどちらを飲めばよいですか?」という質問に答える。
ずばり、好みだ

上の質問を、他のもので言い換えると分かりやすい。
オフィシャルかボトラーズかは、「肉屋さんの作ったハンバーグ」か「ハンバーグ屋さんの作ったハンバーグ」か、みたいなことなのだ。例えば松阪牛を売っている肉屋さんの作ったハンバーグを、“松阪牛オフィシャルハンバーグ”と呼んで、料理屋さんの作ったハンバーグを、“松阪牛の料理屋ハンバーグ”と呼んでいるようなもの。どちらがおいしいか?と言われれば、好みであるとしか答えようがないレベルのものだ。

オフィシャル、つまりディスティラリー(蒸留所)は「俺らが一番美味い。この香り、味が、このウィスキー」と思ってるだろうし、ボトラーズも当然「ディスティラリーが出すそのままより美味しいし、この方が個性が引き立つし、面白いだろ。俺こそがこのウィスキーの魅力を教えてやるよ」と思っていることだろう。



つまり、我々がウィスキーを飲むにあたっては、オフィシャルも、ボトラーズも大歓迎なのだ。

どちらを飲めば良いかなどと心配することなく、そのウィスキーが何であるか認識して、ただ飲めばよい。何を飲んだかさえ分かっていれば、もう一度頼むときにスムーズだからだ。