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レビュー:響 ディープハーモニー 稀に見る・・・

響 ディープハーモニー (HIBIKI DEEP HARMONY)を飲んだ。97点。
今年(2013年)の6月にリリースされた、バー業種向けの限定品。17年熟成以上の原酒を中心に、赤ワイン樽で熟成させた原酒、それからシェリー樽熟成のグレーンをブレンド、というのがメインの構成のようだ。

響 Deep Harmony
【評価】
グラスに顔を近づけてみれば、その香りは、しっとりとしている。障子の木枠。和紙から透けて光がぼんやり室内を照らす。その柔らかな光に照らされた畳のい草の一本一本が、陰翳を生み出す。床の間に飾られた侘びのある花器。外の音は、鳥が枝から飛び立つ音と風の音だけ。
口に含めば、石をうがった窪みに水が張られ鏡になっている。みずからの顔を覗き込むと、風が吹き、木の葉が触れ合う音がする。
すべての香味の要素が、ひとつの情景を描き出す。稀に見る美しいウィスキー。

【Kawasaki Point】
97point

【基本データ】
銘柄:響 ディープハーモニー (HIBIKI DEEP HARMONY)
地域:Japan, 日本
樽:Oak, Red Wine, Sherry, Bourbon, オーク、赤ワイン、シェリー、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


24面体のカットが施されたボトル

ボトルの形状そのものも美しい


残りわずかであった


越前和紙のディティール

「外の音は、鳥が枝から飛び立つ音と風の音だけ」


すべての香味の要素が、ひとつの情景を描き出す。



レビュー:SMWS 秋の試飲会 ~12本のレビューを一挙掲載~

スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティの秋の試飲会に行ってきた。(The Scotch Malt Whisky Society Autumn Bottles Sampling)
それ何なの?と思われる方が日本でも99.9%以上と思われるニッチな会だが、わかりやすく言えば、「5,000円で、12種類のウィスキーが飲み放題の会」だ。すべてのウィスキーは、世界最大のウィスキー愛好家団体のソサエティが、各蒸留所から直接買い付けた樽から、なにも混ぜず・加えずの状態でボトリングしたものだ。12本のボトルの中にはかなり長熟で価格が高いものも含まれるのでお得でもある。
春夏秋冬のリズムに合わせ、年4回開催される。(各地の開催情報はこちら

今回も、2013年秋の試飲会、12本のボトルのレビューをランキング形式で一挙掲載する。
(参考:今年の夏のレビュー春のレビュー

SMWS 2013 秋のサンプリング会 スタート!

同点11位
3.208 BOWMORE1989 24yo (ボウモア1989 24年熟成)
【Kawasaki Point】
73point
【評価】
香りは、ピーティ、酸味、太陽に灼けた砂。
口に含めば、ラベンダーが平べったく、かつ鋭く現れるが、まるでガラスケースの中に入っているようだ。
かつてそこになにか輝かしいものがあったことをうかがわせる遺跡のようなウィスキー。


同点11位
127.35 PORTCHARLOTTE 2003 9yo (ポートシャーロット2003 9年熟成)
【Kawasaki Point】
73point
【評価】
グラスから香るのは、強烈なピート、ペッパーと奥に隠れた柑橘。
口に含めば、ひたすらピートがあり、酸味とペッパー。おだやかさを感じる。
狭き門だが、くせになる可能性があるウィスキー。


同点9位
4.179 HIGHLAND PARK 1991 22yo (ハイランドパーク1991 22年熟成)
【Kawasaki Point】
78point
【評価】
グラスから立ち上るのは、かぼすとホワイトグレープフルーツの果汁に、それからペッパーを少しふりかけてシェイクした香り。木のコップに注がれている。
口に含めば、柑橘が持つべき甘みが舌の先で広がりながら、さっと消えてしまう。
余韻にわずかにオイリーさを感じるが、さらっと飲める。


同点9位
36.62 BENRINNES 1991 21yo (ベンリネス1991 21年熟成)
【Kawasaki Point】
78point
【評価】
グラスに顔を近づけると、すぅーっと垂直に細く立ち上る香り。色で例えるなら透明の青と水色の螺旋。わずかにペッパーを纏う。パイナップルをわずかに。
口に含めば、船で航海に出る気分。ジリリと熱く、バケットにレバーペーストを載せ、半分を一口で食べる。
食前酒にはぴったりな一杯。

ベンリネス1991 21年
ソサエティのタイトルは The Italian Job
訳せば「イタリアの仕事」


8位
53.191 CAOL ILA 1996 16yo (カリラ1996 16年熟成)
【Kawasaki Point】
82point
【評価】
香りは、木の酸味と煙。
口に含めば、ハーブの葉っぱを舌の上に載せて、甘みを味わいながら、煙が追っかけっこ。
穏やかですこし個性がくすぶったカリラ。冬ごもりしたときに飲みたい。


同点5位
29.140 LAPHROAIG 1995 18yo (ラフロイグ1995 18年熟成)
【Kawasaki Point】
83point
【評価】
香るのは、さわやかな柑橘をちりばめた、石釜の香り。
口に含めば、塩とあさりスープ。ディルとペッパー。鋭さではなく、角の丸い香り。
穏やかな情景の浮かぶラフロイグ。


同点5位
39.90 LINKWOOD 1990 22yo (リンクウッド1990 22年熟成)
【Kawasaki Point】
83point
【評価】
グラスから立ち上るのは、ポトフとブラックペッパー、少ししつこいくらいの木のこってりとした香り。
口に含めば、ポテトとブラックペッパーのスープ。
疲れたときの活力剤のような、日常にスパイスが欲しいときのためのウィスキー。


同点5位
44.58 CRAIGELLACHIE 1999 13yo (クライゲラヒ1999 13年熟成)
【Kawasaki Point】
83point
【評価】
グラスに鼻を近づけると、紫陽花のような香り。ハッサク。子供のビーチの砂遊び。
口に含めば、厚みのある草とミルク、干し草もある。
秋の星々をながめるときに飲みたいウィスキー。

クレイゲラヒ1993 13年熟成
ソサエティのタイトルは A Bittersweet Sensation
訳すと「ほろにがの大騒動」かな?


4位
1.174 GLENFARCLAS 1997 16yo (グレンファークラス1997 16年熟成)
【Kawasaki Point】
85point
【評価】
目を閉じてグラスに顔を近づければ・・、すこし奥まったところ、生垣に挟まれた狭い道をすこし歩き、小ぶりな鉄の扉を開ける。眼前に現れたレストランに期待値が上がる。
口に含めば、白いリネンのテーブルクロスの上に出された、バターの効いたスープ。フォークとナイフ。ロウソクと、ロウソクの光に照らされたオレンジ。
夏の宵の口の食事のひと時を想起させるウィスキー。


同点2位
17.34 SCAPA 2002 11yo (スキャパ2002 11年熟成)
【Kawasaki Point】
88point
【評価】
香りは、オレンジピールにかかったハチミツ!香水のように上品!太陽の光を想起させる。午睡(シエスタ)。うっとりする・・いつまでも香っていたい。
口に含めば、期待していた通りの塩キャラメル。船の木の板に塗ったオイル。
味わいの深い、映画のワンシーンのような洒落た一杯。

ソサエティのタイトルも Seaside holiday dram
訳せば「海辺の休日のひと口」



同点2位
71.39 GLENBURGIE 1985 27yo (グレンバーギー1985 27年熟成)
【Kawasaki Point】
88point
【評価】
香りは、夏のスイカ、腐葉土、ねっとりした温かみに湿度を感じる、イチジク、ほんのりと煙。
口に含めば、しっとり上品、イチジクの種を噛みながらよく味わっているような。スモーキーな紅茶。
昼下がりにゆったり味わいたいウィスキー。

ソサエティのタイトルは Sweetness gently tickled by oak
訳せば「オーク樽による甘美で優しいくすぐり」


1位
73.58 AULTMORE 1991 21yo (オルトモア1991 21年熟成)
【Kawasaki Point】
94point
【評価】
グラスに顔を近づけると、新鮮な驚き。水晶玉のアクアリウム、さわやかな森の香り、うすいスパイス。
口に含めば、バニラの木の香りがしっかり。スパイシーかつ中庸。チョコチップとスパイスが余韻として香る。
気の利いたバランスがとれた美しい一杯。

12本の中で頂点のオルトモア1991 21年熟成
ソサエティのタイトルは「Simple and seductive」
訳せば「シンプルで誘惑的」 う~んまさに!

バランスがとれた美しい一杯

今回のサンプリング会はハイレベルであった。点数も73~94点で、過去最高だ。
スキャパやバーギーを1位に推す声もあり、特にスキャパは「香り高い」という意見が多かった。
あっという間の2時間で、会が終わり店を出た。雨上がりの街は少し暗く、そして肌寒かった。もう秋なんだなと実感して、冬のサンプリング会はどんな風になるだろうかと少し考えたりした。

おのおの家路に着いて、余韻をかみ締めていたに違いない。



レビュー:マルス モルテージ 3 plus 25 夏の果実と、麦の香り

MARS MALTAGE 3 plus 25(マルス モルテージ 3 プラス 25)を飲んだ。87点。

WWA2013(ワールド・ウィスキー・アワード)で「ベスト・ブレンデッドモルト」に選ばれたボトルだ。この「ベスト」は世界の最高賞ということで、WWAのベストはそれなりにすごい。(シングルモルト部門では「アードベッグ・ガリレオ」や、ブレンデッド部門では「響21年」がそれぞれベストに選ばれている)
このウィスキーをつくっているのは「マルス蒸留所」という蒸留所だ。ジャパニーズ・ウィスキーの中でも、サントリーやニッカに比べれば知名度は低い。今回の初受賞で、このボトルは一気に売り切れ、その他のボトルにも注目が集まっている。(ちなみに、当ブログ選出2012の最優秀賞は、同じマルス蒸留所の「駒ヶ岳1985」だ。こっちをエントリーしても面白かったと思う)

「3plus25」というのは、鹿児島で3年寝かしたあと、信州で25年寝かしました、という意味。結局28年熟成。あんまりウィスキーが「お引越し」することはないので、珍しいといえる。今回の受賞で改めて味わってみた・・・さて、その香りと味はいかほどか。

初エントリーで初受賞、おめでとう!



【評価】
グラスに鼻を近づければ、甘くふくよかな香り。うっとりする、木の酸味とスパイシーさが、アルコールに乗る。木造校舎と砂煙。川魚の燻製。
口に含めば、爽やかな夏の果実の甘み。熱く上がってくるアルコールが、ジリジリと麦芽のうまみを分解する。その後に、ノドで感じる甘み。
爽やかで奥深いウィスキー。

【Kawasaki Point】
87point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:MARS MALTAGE 3 plus 25(マルス モルテージ 3 プラス 25)
地域:信州、Shinshu
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル





うっとりする、木の酸味とスパイシーさが、アルコールに乗る

爽やかで奥深いウィスキー



レビュー:ザ・ニッカ・ウィスキー 1999 34年 ~幻のウィスキーその2~

The NIKKA WHISKY 1999 34yo(ザ・ニッカウヰスキー 1999 34年熟成)を飲んだ。98点。
昨日の『レビュー:ザ・ニッカ・ウィスキー 1998 34年 ~幻のウィスキー~』に引き続き、今度は1999年版のウィスキーだ。この幻のウィスキーについては、1998年ものと1999年もの、片方に言及した記事は少数ながらあるものの、両方に言及し、かつテイスティング・コメントを掲載したのは、このブログが日本初(ということは世界初)となる。(なぜこのウィスキーが“幻”かは、1998年版の記事を参照してほしい)

世界初、幻のザ・ニッカ・ウィスキーの
1998(右)と1999(左)の両方のテイスティングコメントを掲載
めぐり合えた仕合せ・・



【評価】
グラスに鼻を近づければ、深く、うっっっとりとする香り。鎖と岩と冬の腐葉土のニュアンス。やや感じる酸味の奥に、小さくてかわいらしい花が咲いている。乾燥させた草花。線香。校庭に引かれた白線の石灰。
グラスを傾け、口に含めば、驚くほど“しっとり”と入ってくる。重く、熱く、ジリジリとした余韻なのに、軽やかな香水が湧き上がり、鼻に抜けていく。うまみが幾重にも厚く重なっている。
いわゆるシェリー樽の、「甘い」とか「渋い」などという単純な言葉では評価できない、不思議な存在感を放つウィスキー。

※尚、1998年版の記事に書いた「どっちのほうが旨いのか?」という質問の答えだが、下記の通りだ。
もしあなたが、香水の華やかさ、フルーティさ、めくるめく香りの世界を堪能したければ1998年ものの方が旨い。そしてもしあなたが、シェリー樽の重厚な、岩と森と光と影、ドライな草花、次々と重なってくる味の世界を堪能したければ、1999年ものの方が旨い。
実は点数は同点なのだ。「ザ・ニッカ・ウィスキー 34年」というタイトルは一緒だが、1998と1999のウィスキーは全く別のコンセプトのウィスキーである。土台となっている長熟のグレーン・ウィスキーの表情の豊かさを味わうという意味では共通点があるのだけれども。(ウィスキー評論家の土屋守氏いわく「グレーンの質の高さに心底驚かされた」そうだ)

【Kawasaki Point】
98point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:The NIKKA WHISKY 1999 34yo(ザ・ニッカウヰスキー 1999 34年熟成)
地域:Japan
樽:Oak, Sherry, オーク、シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

1000本限定。99年版は樽の絵入りのラベル。

なぜわざわざ「Real」Vintage と書いてあるのか。
また、社名であるニッカウィスキーに定冠詞「The」をつけて
リリースしたのはどのような想いだったか。

深く、うっっっとりとする香り。
通常のシェリー樽の陶酔感を超えている。

最低でも34年熟成以上なのだ。

裏書がシンプルだった1998年版に比較し、1999年版は充実。
テイスティングコメントの
「円熟感の中ですべてが調和します」というのが
一番言いたかったポイントなのではないだろうか。


レビュー:ザ・ニッカ・ウィスキー 1998 34年 ~幻のウィスキー~

The NIKKA WHISKY 1998 34yo(ザ・ニッカ・ウィスキー 1998 34年熟成)を飲んだ。98点。
これは、間違いなく幻のウィスキーである。ネット上でもそのテイスティング・レビューは見当たらないので、このブログがほとんど初めてのレビューだろう。代わりに見かけるのは「空きボトルは見たことがある」とか、「ウィスキー評論家の土屋守氏が、“もう一度飲みたいと切に願うウィスキーだ”と雑誌に書いてた」など、それも5~6年前の記事がほとんどだ。

このウィスキーは、ニッカが1998年と1999年にそれぞれ1,000本限定でリリースしたボトルだ。当時大変な人気で、しかも2013年現在ではもう14、5年前の話だから、現存するボトルはほぼ「幻」と呼んでよいだろう。余市蒸留所のモルト・ウィスキーと、宮城峡のグレーン・ウィスキーを1:1でブレンドしたものだ。
驚くべきは、34年以上熟成されたグレーン・ウィスキーを使っていることだろう。ややテクニカルな話ではあるが、ニッカの創業者の竹鶴政孝(たけつるまさたか=ジャパニーズ・ウィスキーの父)は、穀物からつくるグレーンウィスキーをつくるのに、“より効率の悪い”「カフェ式」と呼ばれる蒸留器を採用した。なぜ効率の悪い方を選択したのかと言えば、その方がより穀物の風味が強く残るからだ。その決定のおかげでニッカは、上質のグレーン・ウィスキーを手に入れた。竹鶴の職人らしいこだわりをうかがわせる話だ。彼は自分の作った蒸留所のグレーン・ウィスキーが34年熟成して世に出る日を見ずに亡くなった。当然、ウィスキーづくりとはそういう「自分の時間」を超えて取り組むものである。しかし、すごい情熱。

今回は、2回連続で、このザ・ニッカ・ウィスキーの98年と、99年の2本のテイスティング・レビューを掲載する。月並みだが「どっちのほうが旨いのか?」という質問にも後ほど答えよう。


【評価】
グラスに鼻を近づければ、理性を飛び越えて“心地よい”と感じる香り。香水のようなシェリー樽の香り。長い時間をかけて日に焼けた窓の木枠。切りたての上質なハムの香りと、そのナイフに反射する光。深く記憶を呼び覚ますかのよう。「この香りなら、酔っ払ってもいいかも」と思わせる。
口に含めば、やわらかく入ってくると同時に、舌の外側で重みを感じ、鼻に抜けていくどこまでも上品に熟成した木と花の香り。
重みと気品のあるウィスキーである。

【Kawasaki Point】
98point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:The NIKKA WHISKY 1998 34yo(ザ・ニッカ・ウィスキー 1998 34年熟成)
地域:Japan
樽:Oak, Sherry, オーク、シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

理性を飛び越えて“心地よい”と感じる香り

鼻に抜けていくどこまでも上品に熟成した木と花の香り

1000本限定なのはもったいぶったのではなく、
それが当時の限界だったのではないだろうか

1998年のボトルの裏書はいたってシンプルだ

男の隠れ家、2006年の3月号「幻の酒が飲める店」特集

ウィスキー編は土屋守が案内人だったのだ

土屋守氏が挙げた4つのウィスキーの中でも、
『これぞ僕が「もう一度飲みたい」と切に願うウィスキー』
という強い表現をしている。
土屋さん、2013年の今でも、実はまだ飲めますよ。

重みと気品のあるウィスキーである。

続編、『レビュー:ザ・ニッカ・ウィスキー 1999 34年 ~幻のウィスキーその2~』も掲載。


レビュー:トマーティン30年 国分300周年限定

TOMATIN 30yo KOKUBU 300 years Anniversary(トマーティン30年 国分300周年記念)を飲んだ。90点。
昨年(2012年)、大手お酒卸の国分が創業300周年を記念し、トマーティンの大キャンペーンを張った。全国を大型バスで巡りイベントを催した。この頃、トマーティン推しのバーも多かったはず。また、今回紹介するボトルを発表した。なんでもオロロソシェリー樽のみで30年熟成させた貴重な原酒らしい。ボリュームがあまり取れなかったのかボトルは325ml、通常の750mlの約半分。

【評価】
香りを嗅げば、厚みのある木の板を連想させる。その表面は少し焦げている。渋いが、フローラル。セメダイン。風に揺らぐ色とりどりの花々が、ある瞬間を切り取った写真のように、ピタッと香りのバランスを固定される。その写真は日焼けした紙のアルバムに貼られ、郷愁の香りとなる。
口に含めば、まろやかな甘みと重み。夜間飛行のよう。しじまの闇の中をプロペラの音だけで進む。この味の重みで瞑想し、生まれてから今までのすべてを洗い流したくなる。
静かに飲む、爽やかなのに深いウィスキー。

【Kawasaki Point】
90point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:TOMATIN 30yo KOKUBU 300 years Anniversary(トマーティン30年 国分300周年記念)
地域:Highland ハイランド
樽:Oak, Sherry, オーク、シェリー
ボトル:KOKUBU, 国分


香りを嗅げば、厚みのある木の板を連想させる

まろやかな甘みと重み。夜間飛行のよう

ド・シェリーな味わい。爽やかなのに深いウィスキー

トマーティン蒸留所の近くには、ネッシーでおなじみネス湖があるって知ってました?
地図を拡大して確かめてみて。

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レビュー番外編:SMWS ラム R5.2 10yo

たまにはラムのレビューを番外編で掲載。
SMWS(スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティ)のラムR5.2、10年熟成を飲んだ。とびきり美味い。95点。
なんとアルコール度数が81%。それだけで敬遠されがちだが、もったいない。

SMWS(通称:ソサエティ)のボトルにはいつもお題が付く。このラムは、
To Life, Love and Loot 人生とは愛と略奪
なんとも激しく、詩的だ。世界に507本しかない。・・こんなお題、世界にたくさんあっちゃ困る。

ちなみにラムは映画パイレーツ・オブ・カリビアンの影響で世界的プチブームが来た。
原料はサトウキビ。南国の酒だ。作り方はウィスキーと似ている。

本来81%というアルコール度数はニート(ストレート)向きではない。しかし、このラムはストレートが一番美味い。それぐらい複雑な香りのハーモニーがある。ただ、他の飲み方でも充分美味いだろう。このラムに出会える人口は本当にわずかだが、もしよければ、出会ったなら試してほしい。ハーフぐらいでチビチビやってほしい。


【評価】
香りは、レーズン、生クリーム、ナッツ、炒った穀物、ガソリン。
口に含めば、熱く燃えているが、レーズン生クリームのように滑らかに浸透してくる。長い余韻。呼吸の熱さ。
本質的にロマンティックで、悪女のようなラム。

【Kawasaki Point】
95point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:SMWS R5.2 10yo (スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティ R5.2 10年熟成)
(※ソサエティのR5ってどこの蒸留所なのか、どなたか教えて下さい
  2/7追記 Long pond蒸留所であることを教わりました。ヴェスパーマティーニさんありがとうございます)
地域:ジャマイカ
樽:Refill Sherry Butt, シェリー リフィルバット
ボトル:SMWS


ソサエティのR5.2は悪女のようなラム

レーズン生クリームのように浸透し、長い余韻。
レーズン、生クリーム、ナッツ、炒った穀物、ガソリン
ラムの原料はサトウキビ。南国の酒だ。

ジャマイカはLong Pondはシュガーファクトリーでもあるようだ。

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レビュー:ポートエレン1978 23年

DOUGLAS LAING, PROVENANCE Series PORT ELLEN 1978 23yo (ポートエレン1978 23年熟成、ダグラスレイン社のプロヴナンスシリーズ)を飲んだ。カスクストレングス(樽出し)。なんと97点。

【評価】
ぶどうと木の樽、美しい浜辺。空は青く、カモメが舞っている。柔らかさに包まれたビター、焦がし感が、バランスを崩さずに鼻腔の奥深くまで届く。
口に含めば、舌の上で焦がしたチョコが踊る。甘くとろけるような香りが焦がしながら消えていく。まるでコニャック感。後から上がってくるピート感。
味も香りも刻々と変化するが最後まで決して崩れない。一貫した主張がある。華やかだがクドくなく、潔い。
出会ったなら、飲まなければならないウィスキー。

【Kawasaki Point】
97point

【基本データ】
銘柄:PORT ELLEN 1978  23yo (ポートエレン1978 23年熟成)
地域:ISLAY アイラ
樽: Bourbon, バーボン ※詳細不明
ボトル:DOUGLAS LAING ダグラスレイン社


ポートエレン出会ったなら、飲まなければならないウィスキー。

一貫した主張がある。華やかだがクドくなく、潔い


今はもうすでに閉鎖されたポートエレン蒸留所の位置を地図で確かめてみて。

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レビュー:ボウモア1987 23年(ベリーブロス)

BERRY BROs & RUDD の BOWMORE 1987 23yo(ベリーブラザーズ&ラッドのボウモア23年)を飲んだ。1980年代の貴重なボウモア。98点。


【評価】
目の覚めるような香り。アルコールの香水。嫌味のない燻製の香りが奥に漂う。甘いラベンダー。首筋に垂らしたくなる。
口に含むと、香水が香水のまま、やや膨張しながら分解していく。残るものは、香水を感じた口腔のしびれ。細胞が光を放ち、背筋を伸ばしたくなる。ヘビーな香りを奥に隠している。
闇の中を差す光の筋を思わせるウィスキー。これはもうほぼ、文学だ。

【Kawasaki Point】
98point

【基本データ】
銘柄:BOWMORE 23yo (ボウモア23年)
地域:Islay (アイラ)
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:BERRY BROs & RUDD, ベリーブラザーズ&ラッド


香水のような80年代ボウモア。これはもはや文学だ。


アイラ島の有名蒸留所ボウモアの位置を地図で確かめてほしい。Bowmoreは大きな岩礁という意味。

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レビュー:余市20年

余市20年を飲んだ。97点。

【評価】
グラスから立ち上る香りは、きわめてフローラル。
フローラルの甘さの中に、自然な重みと塩っぽさを感じる。いつまでも嗅いでいたい樽香。
口に含めば、一瞬で蒸発する甘さと、焦がしたチョコレートのニュアンス。まるで樽の中に深く沈み込むかのよう。ボディが利いており、その多重的な味が、バッハのG線上のアリアを思わせる。
香りの中に引き込まれる。味わうためのウィスキー。

【Kawasaki Point】
97point

【基本データ】
銘柄:余市20年
地域:余市(北海道)
樽: Sherry, シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


余市20年。香りと味はG線上のアリアを彷彿させる。



北海道は余市蒸留所の場所を確かめてほしい。
ジャパニーズウィスキーの父、竹鶴政孝が追い求めた、理想の地だ。

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