レビュー:オクトモア06.1 スコティッシュバーレイ ただし初心者には・・・

OCTOMORE 06.1 SCOTTISH BARLEY(オクトモア 06.1 スコティッシュバーレイ)を飲んだ。85点。
オクトモアは今や「世界でもっとも煙臭い(ピーティな)ウィスキー」として知られている。フェノール値は世界最大で、オクトモアの記録を、新しいオクトモアが塗り替えているという状態だ。
意外にも飲み口は柔らかいのだが・・・、さてはて今回のオクトモアの香味やいかに。

オクトモア06.1
【評価】
グラスから立上るのは、酸味と煙!甘く脳髄を溶かす香り。ああ、血液の中に溶け込むに違いない。くらくらするほどの。
口に含めば、不思議。柑橘の後味。思わずふた口目。ふくよかな煙が膨らみながら、いや、その実、爆発しているのかもしれない、体の中に入り込む。
暖炉の積まれたレンガに手を掛ける、スス臭さの温かみ。すごい煙体験のウィスキー。

※ただし初心者にはお勧めできない

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄: OCTOMORE 06.1 SCOTTISH BARLEY(オクトモア 06.1 スコティッシュバーレイ)
地域: Islay, アイラ島
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


甘く脳髄を溶かす香り。

スタイリッシュで主張のあるボトル

ふくよかな煙が膨らみながら・・・

すごい煙体験のウィスキー。


レビュー:ダルウィニー15年 角の取れたなめらかな・・・

Dalwhinnie 15yo(ダルウィニー15年熟成)を飲んだ。85点。
標高330mにあるという蒸留所は、スコットランドの中でも「最も高いところにある蒸留所のひとつ」だそうだ。シングルモルトの味わいに、蒸留所の立地は大きく関連しているといわれる。
さてはて、その香味やいかに。

ダルウィニー15年熟成

【評価】
グラスから立上る香りは、うっすら、ほんのり。ガラスの器に水を張って、小さな花びらを散らしたよう。わずかに煙がおおう。
グラスを傾けそっと口に含めば、ニスを塗っていない長い木のカウンターを、手でさすっているかのような、優しい印象。カウンターはまっすぐではない。手で触るとわかるでこぼこがあり、それも角が取れてなめらかで触感の楽しさになる。
美しく静かに飲めるウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄: Dalwhinnie 15yo(ダルウィニー15年熟成)
地域: Highland, ハイランド
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル 

ボトルキャップのマーク


The Gentle Spirit

明るい黄金色だ

紋章の左下に描かれているのは山だろうか


美しく静かに飲めるウィスキー

たまにはアップの画で。ダルウィニー蒸留所はかなりのどかな場所にあるようだ。地図を拡大したり縮小したりして確かめてみてほしい。
大きな地図で見る



レビュー:ブレア・アソール 12年 UD花と動物 こころそのものを・・・

BLAIR ATHOL 12yo UD Flora and Fauna Series(UD社の花と動物シリーズ ブレアアソール12年熟成)を飲んだ。89点。
ブレアアソールはかなり古い部類の蒸留所だ。このボトルはいわゆる「花と動物シリーズ」で、ラベルにはカワウソが描かれている。きっとこの蒸留所の立地に由来しているのだろう。
さてはて、肝心の中身の香味やいかに。

カワウソと濃いシェリーの色あい

【評価】
グラスから立上るのは、穏やかで、毛布でこころそのものを包み込むような優しい香り。深みを持っている。木の酸味がさわやかに調和しており、「行っておいでよ」と背中を押されている気分になる。
口に含めば、甘い飴が舌の上でとろける。スパイスが夜に読む物語のようで、わくわくした気持ちにさせる。
週末に別荘に訪れたような解放感と、安らぎを与えてくれるウィスキー。

【Kawasaki Point】
89point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄: BLAIR ATHOL 12yo(アベラワー 1994 18年熟成)
地域: Highland, ハイランド
樽: Sherry, Oak  シェリー、オーク
ボトル:UD Flora and Fauna Series(UD社の花と動物シリーズ)

ブレアアソール12年熟成



毛布でこころそのものを包み込むような優しい香り



甘い飴が舌の上でとろける

週末に別荘に訪れたような解放感と、安らぎを。

ブレアアソール蒸留所の位置を地図で確かめてみて。

大きな地図で見る


書評:北のライオン 大人のウィスキー漫画

もしも、ウィスキーのことを好きになる、ちょっとほろ苦くて、大人の、キレイな一枚一枚の絵がつらなった、粋なストーリーの漫画があったなら・・・?

北のライオン(1)
北のライオン(1)

ぜひ紹介したい漫画がある。『北のライオン』は、まさに冒頭に挙げたような要素のつまった漫画だ。コミック版はA4版で全ページフルカラー、わせせいぞうの綺麗な絵をじっくり眺めるのにふさわしいサイズだ。(Kindle版もあるけれど、この作品に関しては印刷の美しさが意味をもってくると思う。今ドキちょっと珍しい・・・)

毎回、ひとつのウィスキーがさらりとおシャレに登場する。決してウィスキーのウンチクが主体の漫画ではない。ウィスキー自体と、それよりももっとウィスキーを取り囲む人々への愛にあふれている作品だ。

主人公のライオンは、日本語が話せない。Keiko's Barという、亡き妻の名をとったバーを営んでいる。バーを訪れる人々のさまざまなストーリーが、どのコマをとっても額に入れて壁に飾りたいような絵で、しっとりと展開していく。

さびしい男の背中・・・、かつて愛した恋人・・・、きっぱりとした強い女の飲み方・・・、大和撫子な女の小唄・・・、故郷を想う人の・・・・

どの客人に対しても、ライオンは多くを語らず、いつもやさしい。
実際、現実のバーでも多くの「ちょっと良い話」がたくさんあると思うが、それらは毎夜、当事者の記憶の中だけに留まり生きつづけていく。だからバーという場所は、初心者にはわかりづらく、当事者にとっては大切な場所になる。
この作品は、そういったほとんど世に出ることのないバーでの「良い話」や、「大人の美しさ」みたいなものを、ライオンのKeiko's Barへ美しく投影しているのだろう。


ウィスキー好きに贈りたい秀逸な作品。


北のライオン(1)
北のライオン(1)