レビュー:コンバルモア1984 23yo 心が晴れ渡る・・・

CONVALMORE 1984 23yo by GM Connoisseurs Choice Series(G&M社のコニサーズチョイスからコンバルモア 1984 23年熟成)を飲んだ。81点。

コンバルモアは、すでに閉鎖した蒸留所だ。蒸留所が閉鎖したらそのウィスキーの価値が上がるように受け取られるフシがあるが、本来的には今その蒸留所が稼働しているかしていないかと、ウィスキーの価値とは無関係だろう。ただ、「もうないもの」に特別な感情を抱くのは、人間のさがなのだろう。

さて、このボトルはどんな香りを運んでくるだろう。

コンバルモア1984-2008 23年熟成

【評価】
グラスから立ち上る香りは、白樺と白桃と梨。わずかに香るパイプ。ゆったり雲が流れて、地平線が広がる大地を車で進む。
口に含む。目当ての沢にたどり着いて、岩に腰掛けおにぎりを喰う。笹に包まれた梅干しの握り。
心が晴れ渡る青い空を見上げる。

【Kawasaki Point】
81point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄: Convalmore (ロングロウ)
地域:Highland(ハイランド)
樽: Sherry(シェリー)
ボトル:Gordon & MacPhail (ゴードンマクファイル)

1984年熟成




スぺイサイド(スペイ川流域)

コンバルモアはダフタウンの4番目の蒸留所として1893年に創立された。
1985年に役割を終えた。


レビュー:グレンファークラス2005 クリスマスモルト 口の中で弾ける・・・

Glenfarclass 2005 10yo 2016 Christmas bottle(グレンファークラス2005年蒸留 10年熟成 クリスマスモルト)を飲んだ。86点。

クリスマスといえば思い出すのが、グレンファークラス。「クリスマスモルト」と銘打ったボトルをリリースするからなのか、濃いシェリーの香りにほっこりできるからなのか。
寒い日にあたたかな家でちょっと出てくるとうれしくなる銘柄だ。

さて、このボトルはどんな香味だろうか。

グレンファークラス 2005年蒸留2016年ボトリング 10年熟成 クリスマスモルト

【評価】
グラスから立ち上る香りは、古き良きシェリー熟成。甘さの中にふくよかなスパイス。ブルースハープ。
グラスを傾け、液体を口に含む。スパイスたちが口の中で弾けるが、甘くておっとりとしたクッションの中でそれは起こる。
これは雪道をあるいてきたご褒美だろうか。

【Kawasaki Point】
86point

【基本データ】
銘柄: Glenfarclas(グレンファークラス)
地域:Highland(ハイランド)
樽: Sherry butt(シェリー)
ボトル:Distillery Bottle (オフィシャル)

金字のラベル。クリスマスムード。

for the Whisky Hoop

ブルースハープな香り

 
雪道を歩いてきたご褒美だろうか







レビュー:ロングモーン 1990 26yo シグナトリー 絵本を広げて・・・

LONGMORN 1990 26yo by Signatory(シグナトリー社のロングモーン1990 26年熟成)を飲んだ。89点。

ロングモーン蒸留所は、あまり聞かない名前かもしれない。ただ、実はとても日本と縁が深い蒸留所だ。というのも、日本にウィスキーをもたらした功労者の竹鶴正孝(数年前のNHKドラマ「マッサン」のモデル)が、ウィスキーづくりを学んだ蒸留所のひとつが、このロングモーン蒸留所だ。
歴史的には、ロングモーンがあって、今の山崎蒸留所、余市蒸留所がある、といってもいいほどの、重要な蒸留所なのだ。

さて、歴史は歴史として、このボトルは、どのような香味なのだろうか。

ロングモーン 1990年蒸留 26年熟成 シグナトリー社

【評価】
グラスにそっと鼻を近づけ、ゆっくり鼻で息をする。体全体を包み込むようなふかふかのソファ。絵本を広げて、お話を聞かせよう。スイカやメロン、クヌギの蜜。
液体をそっと口に含めば、パチパチと暖炉の火が燃える。ローテーブルのスイカの皮。子供が寝た後、静かなひととき。
幸せの疲れと、それを癒す余韻。

【Kawasaki Point】
89point

【基本データ】
銘柄: Longmorn (ロングモーン)
地域:Highland(ハイランド)
樽: Bourbon(バーボン)
ボトル:Signatory (シグナトリー社)

樽のサイズはHogshead。世界で194本。

1990年蒸留 2016年瓶詰

体全体を包み込むようなふかふかのソファの香り


子供が寝た後、静かなひととき。





レビュー:ロングロウ1998 19年 澄んだ音色と心地よいノイズ・・・

Longrow 1998 19yo (ロングロウ 1998 19年熟成)を飲んだ。86点。

1998年といえば、映画『タイタニック』がアカデミー賞を総なめした年だ。今、あの頃のレオナルド・ディカプリを見ると(当然ながら)若いなと思う。
そんな今は昔、1998年に蒸留され、樽の中でじっと2017年まで熟成を進めていたウィスキーをボトリング。

「ロングロウ」はスプリングバンク蒸留所のリリースしている、スモーキーなブランドだ。

さて、どのような香味だろう。

ロングロウ 1998年蒸留2017年ボトリング (for ウィスクイー)

【評価】
その香りは、琴の音色のような澄んだ甘み。建築材としての竹の柔らかさと確かさ。スパイスが効いていることで、この琴の音色はさらに伸びやかになる。
口に含めば、七色に光るスパイス。色めくスパイスの奥側に、しっかりとした木の年輪を感じる。
澄んだ音色と心地よいノイズ。小気味好いリズムのウィスキー。

【Kawasaki Point】
86point

【基本データ】
銘柄: Longrow (ロングロウ)
地域:Campbeltown(キャンベルタウン)
樽: Sherry(シェリー)
ボトル:Distillery Bottle (オフィシャル)

Peated Cmpbeltown Single Malt Scotch Whisky






色めくスパイスの奥側に、しっかりとした木の年輪





レビュー:ラフロイグ レガシーエディション 赤レンガ同士をぶつけた・・・

Laphroaig Legacy Edition(ラフロイグのレガシー・エディション)を飲んだ。81点。

有名どころの「ラフロイグ」もいろんなバージョンがリリースされている。ボトルの「1815」はライフログ蒸留所の創業年だそうだ。Legacyは遺産とか、伝承というニュアンスなので、Theを冠した1815と重ねれば、「創業から受け継いだ確かなもの」という意気込みの表れとも読み取れる。

さて、どんな香味だろうか?

ラフロイグ THE 1815 レガシー・エディション

【評価】
その香りは、赤レンガと、白木の上に薄く伸ばした灰。この灰は、備長炭を燃やした後のものだろうか。レコードから流れる甘酸っぱい青春フォーク。
口に含めば、硬派な大人の灰。赤レンガ同士をぶつけた時に上がる砂ぼこり。赤レンガの直線が壊れる時の衝撃を、上品に包んだウィスキー。

【Kawasaki Point】
81point

【基本データ】
銘柄: Laphroaig (ラフロイグ)
地域:Islay (アイラ島)
樽: 1st fill Bourbon(ファーストフィルバーボン)
ボトル:Distillery Bottle (オフィシャル)

蒸留所責任者は JOHN CAMPBELL

この灰は、備長炭を燃やした後のものだろうか


赤レンガ同士をぶつけた時に上がる砂ぼこり








レビュー:カリラ 2008 Cl8 カモメを遠目に・・・

ELEMENTS of ISLAY CAOL ILA Cl8(エレメンツ・オブ・アイラのシリーズで、カリラのCl8番)を飲んだ。84点。

「エレメンツ・オブ・アイラ」は、個性の強いアイラ島の蒸留所のウィスキーのシリーズだ。アイラウィスキーを構成する「要素(Elements)」をまるで切りだして魅せてくれるかのようだ。原酒がどこなのかは明かされる(今回はカリラだ)が、詳しいヴィンテージ(熟成年数)は不明。
ボトルのデザインは、「研究室」のコンセプト。洒落すぎず無骨さを残しているところがいい。

さて、どんな香味だろうか。

エレメンツ・オブ・アイラ Cl8 カリラ

【評価】
目を閉じる。その香りは、錆びた船底。長靴の底で砂利を感じながら歩く。カモメを遠目に眺めながら、鉄柱に手をやる。鉛色の空を眺める。
液体を少量口に含むと、ほっとする温かさを感じる。消毒薬、あんず、焚き火。静かな日。これは、休日の漁村。
寒い日の散歩のためにスキットルに入れるならこの酒だな。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄: Caol ila (カリラ)
地域:Islay (アイラ島)
樽: Bourbon(バーボン)
ボトル:Speciality Drinks (スペシャリティドリンク)

55.2°

消毒薬、あんず、焚き火。


これは、休日の漁村。

この生牡蠣は、おまけ。ウィスキーをかけて食べよう。